考えるけど「もうどっちにせよ好き」 読者を惑わせる「性別不明」キャラ3選
果たして男なのか、女なのか……有名なマンガ作品には、ファンの間で「性別論争」が繰り広げられてきた性別不明のキャラクターたちが存在します。そのミステリアスな魅力に迫ってみましょう。
見た目は少年、声優は女性 あれ、どっちだ?
マンガに登場するキャラクターのなかには、ごくまれに男なのか女なのかはっきりとわからない中性的な人物が存在します。その性別をめぐって、ファンの間でちょっとした論争が巻き起こることも珍しくありません。彼ら/彼女らに共通するのは、性別を超えて多くの人の心を惑わせる「魔性の魅力」です。
●『Dr.STONE』フランソワ
『Dr.STONE』は突如人類が石化してしまった世界を舞台に、主人公の高校生「石神千空」が科学の力で文明を復活させていくSF作品です。2022年3月発売の「週刊少年ジャンプ」(集英社)14号をもって物語は完結したものの、「フランソワ」の性別に関しては最後まで謎のままでした。
フランソワは海運会社「七海財閥」の御曹司「七海龍水」の執事兼料理人で、体格は小柄、金髪を縦ロールにした少年のような顔立ちをしています。しかし当初から性別は謎であり、主人である龍水ですら性別を知りません。
そもそも「フランソワ」という名前は、フランス語圏の男性名です。そのためフランソワを「男性」と認識しているファンも少なくないものの、実をいうとフランソワは本名もはっきりしておらず、龍水も「フランソワだかフランソワーズだが 本名も忘れたし性別も知らん」と語ったことがありました。
アニメ版の声優が坂本真綾さんであることや、「千空たちが石化中のフランソワにワカメを巻く際、胸を隠すように巻いていた」ことなどを根拠に、「女性」だと判断する人も多くいるようですが、結論はいまだ出ていません。
●『ソウルイーター』クロナ
2024年に20周年を迎えた『ソウルイーター』にも、性別不明なキャラが登場します。同作は「死神」の学校に通う少年少女の成長と戦いを描いたファンタジー作品で、これまで主人公たちの前にはさまざまな敵が立ちはだかりました。
そのうちのひとり「クロナ」は、ピンクの髪で前髪をパッツンに切り揃えた中性的なビジュアルのキャラクターです。一人称は「ボク」、体格はかなり細身で、一見すると女性にも見えなくはありません。
しかし実際のところ、クロナの性別については明確に明かされておらず、過去に「女の子と話すのは苦手」と頬を赤らめていたことから、「男性」ととらえている人も少なくないようです。そんなクロナに魅了される人も多く、「月刊少年ガンガン」(スクウェア・エニックス)に掲載された第2回キャラクター人気投票では、敵キャラながら第5位にランクインしていました。
●『HUNTER×HUNTER』アルカ
冨樫義博先生の『HUNTER×HUNTER』に登場する「アルカ=ゾルディック」も、性別が不明瞭なキャラクターです。アルカは暗殺一家「ゾルディック」家の一員で、長い黒髪をヘアバンドで留め、女性ものの着物のような服を着ています。
外見だけでいえば、誰もがアルカを女の子と判断してしまうでしょう。実際、兄である「キルア」は「アルカは『女の子』だぞ!!」と発言しているうえ、キルアとアルカの過去について語られたエピソードのタイトルも「兄妹」でした。こういった点は、アルカの性別が女性であることを示しているように思えます。
しかし一方で、キルアの上の兄「イルミ」と「ミルキ」は、アルカのことを「弟」と呼んでいました。またゾルディック家に仕える執事たちも、アルカのことを「坊っちゃん」と呼んでいます。こうした呼び方の違いからアルカの性別は不明瞭のままで、長らくファンの間では性別論争が繰り広げられているのです。
キャラクターを好きになるかどうかに、性別は関係ありません。むしろ今回紹介した3人は、性別がはっきりしていないからこそ、ミステリアスな魅力をまとっているのではないでしょうか。
(ハララ書房)