伊黒さん嫌い←分かってないな… 『鬼滅の刃』蛇柱の“ネチネチ”に隠された生真面目さと優しさ
9月15日は「蛇柱」である「伊黒小芭内」の誕生日です。物語が進むにつれ、彼の評価は爆上がりしています。いまや「カッコイイ」だけでなく、「かわいい」とも言われる伊黒の「ネチネチ」の裏の「生真面目さ」や「優しさ」について考えます。
伊黒の「ネチネチ」の裏を深読み
9月15日は「蛇柱」である「伊黒小芭内」の誕生日です。伊黒といえば、初登場だった柱合裁判の場で「水柱」の「冨岡義勇」のことをネチネチ責めたり、「竈門炭治郎」を息ができないほど押さえつけたりしたこともあり、嫌われがちなキャラクターでした。「恋柱」である「甘露寺蜜璃」が「しつこくてステキ」とキュンキュンしても、彼女に同意する読者や視聴者は、この時点ではほぼ皆無だったと思われます。
しかし、物語が進むほどに、伊黒の印象は変わります。「柱稽古編」冒頭の「風柱」の「不死川実弥」と共闘したアニメオリジナルエピソードで「蛇の呼吸」と「風の呼吸」の技が初披露されると、「エフェクトすごすぎ!」「神作画!」とネット上では大いに盛り上がり、X上でも放送開始10分で「#鬼滅の刃」がトレンド1位、「アニオリ」がトレンド2位になったほどです。蜜璃との恋愛要素も伊黒の新しい一面を見せました。
今回は、いまや「カッコイイ」だけでなく、「かわいい」とも言われる伊黒の「ネチネチ」の裏に隠された「生真面目さ」や「優しさ」について考えます。
伊黒の生真面目さは初登場となる「柱合裁判」での発言からも読み取れます。「炎柱」の「煉獄杏寿郎」や、「音柱」の「宇髄天元」たちが「鬼」である「禰豆子」とその存在を隠していた兄の炭治郎の処分を口にするなかで、伊黒だけが冨岡義勇の責任を追及しました。
鬼になった禰豆子を見逃した時点で、義勇は重大な隊律違反を犯しています。そして炭治郎に鬼殺隊への道筋をつけてやり、入隊後も禰豆子の帯同を黙認していたことも許しがたい罪です。義勇がほかの柱たちはおろか、鬼殺隊の「お館様」である「産屋敷耀哉」にすら相談や報告をしていないことも大問題でした。鬼殺隊の根底を揺るがすほどの隊律違反を犯したのが義勇という「柱」であったからこそ、伊黒は同じ「柱」のひとりとして、「柱としての責任感」と「職務に対する生真面目さ」から、厳しく言及したのでしょう。
伊黒は義勇について、「嫌い。拙者不幸でござるみたいな顔しててムカつく」(『鬼滅の刃 公式ファンブック 鬼殺隊見聞録・弐』より)と言っていますが、この「柱合裁判」の場での彼の態度は、ただの「好き嫌い」からではありません。「どう処分する? どう責任を取らせる? どんな目に合わせてやろうか?」という畳みかけるセリフからは、まず「隊」としての対応、そして義勇の「責任」に言及し、最後に感情を含んだ言葉をぶつけています。言葉の選び方にも、彼の生真面目さがにじみ出ているといえるでしょう。