伊黒さん嫌い←分かってないな… 『鬼滅の刃』蛇柱の“ネチネチ”に隠された生真面目さと優しさ
ジワジワしみてくる伊黒の「優しさ」も
そして物語が進むにつれ、ジワジワと心にしみてくるのが、伊黒の「優しさ」です。特に「刀鍛冶の里編」第10話の蜜璃にニーソックスをプレゼントするエピソードは、かなりの破壊力でした。あえて顔をそらしてニーソを渡すところや、「絶対、大事にするね」と話す蜜璃に向き直って「破れたら、また新しいのやる」という言葉に優しさを感じます。
このように伊黒が気になってきたら、それまでの彼の言動にいちいち「優しさ」が隠れていることに気付いてしまいます。「遊郭編」最終話では、「上弦の陸」との戦いで重傷を負った天元の前に立ち、「ふうん、そうか。ふーん、陸ね。一番下だ。上弦の……」と、じっとりネチネチ言う伊黒に、天元の3人の妻たちはイライラムカムカを隠せませんでした。
しかし、その言葉の底にある優しさに気付いたファンは、彼が「危険も顧みず駆けつけた」ことや「褒めてやってもいい」という言葉の裏に、実は天元の力を認め、励ましていることにも気付くのではないでしょうか。さらに、伊黒が炭治郎たち若手のことを心配し、気にかけていることも分かります。
そして、話題になった「柱稽古編」の冒頭のアニオリでは、廃城に潜む鬼の数や一般隊士たちの苦戦ぶりを見ると、「おまえたちは帰れ。この先は風柱と俺で行く」と隊士たちを帰しました。これは若手が「死に過ぎる」ことを憂いていた伊黒の優しさにほかなりません。煉獄さんも言っていましたが、「柱ならば後輩の盾となるのは当然だ」「若い芽は摘ませない」という思いは一見、冷酷そうにも見える伊黒もやはり同じなのです。
また「柱稽古編」では、蜜璃と仲の良い炭治郎に、ひたすら当たりが強かった伊黒ですが、そんな姿すら「かわいい」と言われるようになり、特に蜜璃からの手紙を受け取った際の「高速移動」は、見た人たちをほっこりキュンとさせました。
伊黒は、「無限城編」やその後の市街戦でも、炭治郎の危機を何度も救います。蜜璃とのエピソードや彼の生い立ちにまつわるエピソードも目が離せません。
※禰豆子の「禰」は「ネ」+「爾」が正しい表記
※煉獄の「煉」は「火+東」が正しい表記
(山田晃子)