原作と比べたら「ほっそ」 実写版で凄まじい「イケメン化」をとげたキャラたち
実写化の際に人気俳優がキャスティングされたことで、原作では冴えなかったキャラが「美形」へと変貌を遂げる、というのはもはや実写あるあると言える現象です。有名どころでいえば『幽☆遊☆白書』の「桑原和真(演:上杉柊平)」や、『銀魂』の「志村新八(演:菅田将暉)」などがあげられますが、ほかにもさまざまな美形化キャラが存在しました。
小太り、低身長の主人公は何処に?
マンガの実写版で、2次元のキャラを3次元に再現するのはただでさえ難しく、特に「クセの強い見た目のキャラクター」を実写化する場合は大変です。なかには、別人のような「美形キャラ」に変貌してしまった場合もありました。
●『静かなるドン』近藤静也(演:伊藤健太郎)
累計発行部数4600万部を超える新田たつおさんの人気マンガ『静かなるドン』は、昼間は下着会社のデザイナー、夜は反社会的組織「新鮮組」の三代目総長というふたつの顔を持つ主人公の物語です。2013年に完結しているものの、電子書籍が爆発的ヒットするなどブームが再燃し、2023年には「令和版」と銘打たれた実写映画が公開されました。
物語の主人公「近藤静也」といえば、常人離れした肝の座りようと、射撃や武術に優れた身体能力で、表と裏で起こるさまざまな問題を解決してきた男気あふれるキャラクターです。しかし外見だけ見ると低身長で小太りで、「2枚目」といえるようなビジュアルではありませんでした。
一方、実写版では元ファッションモデルで身長179センチのスタイルをもつ伊藤健太郎さんが主演に抜擢されています。そのため「さすがにイケメンすぎない?」と、戸惑う人もいたのではないでしょうか。
しかも同作は外見だけでなく、時代背景や設定も現代風にアレンジされています。主人公の勤務先は下着会社からデザイン会社のグラフィックデザイナーに変更されており、性格も明るく、草食系男子な側面が強調されていました。
とはいえここまでくるともはや別物ということなのか、ネット上では「これはこれでアリ」「マンガとはまた違ったテイストでおもしろい」「原作に忠実すぎないところが逆にいい」などと好評も博していました。実写版は、2024年9月13日(金)には続編にあたる『静かなるドン2』の前編、9月27日(金)には後編の劇場公開が控えています。
●『愛しのアイリーン』宍戸岩男(演:安田顕)
2018年公開の映画『愛しのアイリーン』は、非モテ男性とフィリピン女性の国際結婚を壮絶な筆致で描いた新井英樹先生のマンガが原作です。
主人公の「宍戸岩男」は東北の片田舎で両親と暮らす40代の独身男性で、恋愛とは縁遠い人生を送っていました。彼は職場のパチンコ店での失恋を機に、これまで貯めたお金で、フィリピン人である「アイリーン」との結婚を実現させます。はじめは岩男を拒絶するアイリーンでしたが、ともに苦難を乗り越えるなかで少しずつ愛が育まれていく……といったストーリーです。
原作の岩男はまるで熊のような巨体を持つ巨漢で、非モテであることが迫力のある描写で描かれていました。また、彼は猪の身体をちぎるほどの怪物的キャラクターでもあります。それに対して実写版では岩男役を安田顕さんが演じており、シュッとした標準体型になっていました。見た目だけなら、ダンディなナイスミドルといった印象すらあります。
しかし作品の核となるテーマはしっかり再現しており、岩男の気弱で屈折した性格や不器用でも懸命に誰かを守ろうとする優しさ、さらにはセクシーな濡れ場から放送禁止用語を叫びながら暴走するシーンまで、見事な演技を見せてくれました。
ネット上でも、「安田顕演じる岩男じゃなくて本当に岩男が生きてた」「最初は全然岩男じゃないよなって思ってたんだけど、あの男のみっともなさや情けなさをあそこまで演じられるのは彼しかいない」などと、好評の声があがっていました。
●『アラジン』ジャファー(演:マーワン・ケンザリ)
ディズニーアニメのなかでも屈指の人気を誇る『アラジン』は、2019年に実写化されています。はまり役と評判になったウィル・スミスさん演じる「ジーニー」や、名シーン、名曲の再現度も話題になり、日本国内では令和初の興行収入100億円超えを記録しました。
その『アラジン』の悪役といえば、ヒロイン「ジャスミン(演:ナオミ・スコット)」と結婚して国王の座を狙う大臣「ジャファー」です。アニメでは鋭い目つきと不敵な笑みが、いかにも悪人といった様相でした。ところがチュニジア系オランダ人の俳優、マーワン・ケンザリさんが演じた実写版ジャファーは、アニメのジャファーよりも若く精悍です。
アニメでは、親子ほど年齢が離れているジャスミンとの結婚を狙うジャファーの姿がより嫌悪感をかき立てていました。実写で若く改変されたのは、生々しくならないよう、現代の倫理観に合わせる意味もあったのかもしれません。また、実写版ではジャファーが主人公「アラジン(演:メナ・マスード)」と同じスラム出身で、かつては盗賊だったという設定も足されており、「ダークサイドに落ちていた場合のアラジン」のような側面も持っていました。
いろいろと変更されたジャファーに関して、ネット上では「実写ジャファーは蛇にならないところとか、ジャファーのくせにイケメンすぎるとことか含めてうーん……って感じ」「実写版でもジャファーのキモさ見たかったけどな。なんか仕事できそうな冷酷なイケメンになっちゃった」と残念がる声もある一方、「実写版のジャファー様イケメン過ぎて、彼見たさに劇場通ったくらい」「そもそもジャファー様はヴィランズのなかで顔整ってる方で、若い時ならあのぐらいイケメンでも違和感ないと思ってる」「ジャファーの元盗賊設定最高すぎませんか? スラム街の美少年がいろいろあってあんな感じになったのか」「このイケメン大臣ジャファーの前日譚が観たい」などの意見もあり、実写独自の人気キャラにもなっています。
(ハララ書房)