『逆襲のシャア』風船みたいな囮って実際役に立つの? ←立ちますコスパ抜群です!
『逆襲のシャア』における戦闘シーンで見られた「バルーンデコイ」は、ひと目で囮と分かるものでした。実際の戦場で使用されるものも同様にひと目で風船と分かるものですが、これが実に有効な兵器であることが証明されています。
ひと目で風船とわかっても実はそれで十分だった!
『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』において印象的なギミックとして登場した「バルーンデコイ(ダミーバルーン)」は、モビルスーツ(MS)や戦艦を模した巨大な風船を膨らませ、敵を欺くというものでした。一見するとすぐに見破られてしまいそうにも思えるこのアイデアは、実は現代の戦場においても実用的な兵器として注目され、多用されています。バルーンデコイはどの程度、有効なのでしょうか。
『逆襲のシャア』で確認できるバルーンデコイは、宇宙空間に放出すると1秒程度で膨らみ、実物大の囮(おとり)を生成するというものでした。しかしそのディテールは決して精緻とはいえず、映像ではリアリティに欠いた人形のような物体であるかのように描写されており、近くで見ると簡単に偽物であると見分けられそうな質でしかありません。
とはいえ劇中においても何回か使用され、かなりポピュラーな装備となっていることがわかります。おそらく遠距離では実機と識別困難であるか、また近距離においても瞬間的に判断を遅らせる効果は十分にあるか、少なくともやらないよりはマシであると考えられます。
実世界におけるバルーンデコイは、宇宙世紀の世界観のように瞬間的に膨らませることはできません。例えば戦闘機を模したバルーンデコイはちょうどMSと同じくらいのサイズ(十数mから20m)になりますが、電動ポンプを使い数十分程度の展開時間が必要です。そのため戦闘中に使用するのではなく、あらかじめ基地などに設置しておき、ミサイルを誘引するといった使い方がメインになります。
バルーンデコイを実際に近くで見ると子供用のアスレチック遊具のような外見であり、そのディテールはやはり決して精緻とはいえません。しかしミサイル攻撃のためのターゲティング(標的選定)を行う手段は、スパイ衛星ないし偵察機、ドローンによって撮影された画像が使用されます。これらは遠方から超望遠レンズで撮影することになりますから、バルーンデコイを実機と識別することは非常に難しくなり、十分に囮としての効果を発揮できるというわけです。