“意図的”な演出も… 衝撃的な“作画崩壊”がいまだに語り継がれるアニメ3選
アニメはさまざまな理由で物議を醸すことがありますが、特に大きな騒ぎにつながりやすい出来事といえば「作画崩壊」でしょう。そのときの視聴者たちの間で広まるだけでなく、下手をすると数年後、数十年後まで語り継がれることになります。ある意味レジェンド級の知名度を誇る作品を振り返ってみましょう。
途中まで美麗作画だったのに、なぜ?
アニメにおいてキャラクターの顔や動きが大きく崩れた際には、「作画崩壊」と呼ばれるのがお決まりです。最近はあまり見かけることがないものの、ちょっと歴史をさかのぼればアニメファンの間で物議を醸した作品がいくらでも出てきます。
●『ふしぎの海のナディア』
1990年よりNHKで放送された『ふしぎの海のナディア』は、「ブルーウォーター」と呼ばれる不思議な宝石を持つ少女「ナディア」と、発明好きの少年「ジャン」による冒険を描いたアニメです。
制作を手がけたのは『新世紀エヴァンゲリオン』などで有名な「ガイナックス」で、庵野秀明監督の出世作としても知られています。さらにキャラクターデザインに貞本義行さん、演出・絵コンテには樋口真嗣さんや窪岡俊之さん、増尾昭一さんといったそうそうたる顔ぶれがそろっていました。
そのようなスタッフ陣の功績もあり、当初は美麗な作画によって話題を呼びました。しかし途中から雲行きが怪しくなり、第23話より始まる「島編」から著しい作画崩壊が目立つようになります。
なぜそんな落差が生まれたかというと、「島編」の作画を海外に外注したところ、その仕上がりがあまりにも酷かったことが原因だといわれています。ただ、物語の最終章にあたる第35話から最終話までの部分、通称「N-ノーチラス号編」に入ると、再び作画のクオリティはグッと良くなります。
結果的に『ふしぎの海のナディア』は名作アニメとして名を残すことになりましたが、いまだに作画崩壊の代名詞として脳裏に刻み込まれている人も多いのではないでしょうか。
●『創聖のアクエリオン』
大人気ロボットアニメ「アクエリオン」シリーズの第1作『創聖のアクエリオン』にも、作画崩壊で有名な回がありました。それは第19話「けがれなき悪戯」です。
主人公の「アポロ」、「シルヴィア」、「紅麗花」といった3人のアクエリオンのパイロットたちは、敵の作戦によって奇妙な世界に飛ばされます。そこはゆるっとした単調な線、淡い色彩で構成されたシンプルな世界でした。おまけにアポロたちも、モブキャラのような顔になってしまいます。あまりの衝撃に、放送当時は賛否両論が巻き起こりました。
しかし実際にはスケジュールの遅れなどが理由の作画崩壊ではなく、意図的な演出だったそうです。当時のスタッフブログでは、第19話に「人がどれだけ視覚情報に頼っているか」といったメッセージが込められていたことが明かされていました。
確かに手抜きのような作画ではありましたが、アニメーションの動きという点では非常にヌルヌルと動いており、逆に手間がかかっているのではないかとも思えてきます。非常に印象的な回だったことは間違いないでしょう。