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『Zガンダム』シロッコは「ジ・O」で何を目指したの? 機体に透けて見える天才の野心

本当にシロッコは女性社会を目指したのか

野心家で内面を見せないため謎が多いシロッコ。「GGG 機動戦士Zガンダム パプテマス・シロッコ」(メガハウス) (C)創通・サンライズ
野心家で内面を見せないため謎が多いシロッコ。「GGG 機動戦士Zガンダム パプテマス・シロッコ」(メガハウス) (C)創通・サンライズ

 シロッコは第21話「ゼータの鼓動」で、「ティターンズ」の士官「ジェリド・メサ」と「マウアー・ファラオ」を前に「戦争のあとで誰が人類の支配を握るかで、地球圏はどうにでもなる。そのときに地球圏を収める天才が必要だと思えんか?」と熱弁しています。その問題に「それをあんたが?」と聞き返したジェリドへ「戦後の地球を支配するのは女だと思っている」と、女性を尊重する素振りを見せていました。確かにシロッコは、サラやレコアといった女性を重用していましたが、本当に女性社会を作ろうとしていたのか疑問が残ります。

 疑問に思えるのがジ・Oの立ち位置で、先述したように初陣で、同機との3機編成が想定されているサラのボリノーク・サマーンと、レコアのパラス・アテネをともなっていました。そのうちパラス・アテネのほうは中距離戦主体の重火器型MSで高い火力を持っていますが、ボリノーク・サマーンは偵察や索敵を主体としており、戦闘用の装備は最低限しか持ちません。

 ティターンズの司令官「ジャミトフ・ハイマン」を暗殺した後は、実質的にシロッコが組織を率いていたとはいえ、やはり3機編成の中心にあるのは一番の高性能機であるジ・Oです。そうして振り返ってみると、シロッコが女性に主導権を渡そうとしていたとは思えません。

 もしシロッコが本気で戦後に女性が支配する社会を作りたければ、女性のハマーンが支配する「アクシズ」に協力する道もあるはずが、実際には敵対しています。仮にシロッコによって女性社会の宇宙世紀が実現されても、自身の専用機に「神の意志」と名付ける野心家なので、裏で主導権を握るのは彼自身だったことも考えられます。

 作中でのシロッコはジ・Oに乗り、地球圏の主導権を争いましたが、最後は機体のバイオセンサーをカミーユの高いニュータイプ能力で掌握され、Zガンダムのウェイブライダー(飛行)形態による突撃で志半ばのまま敗れています。

 もしかしたら、女性で誰か権力を譲りわたそうと思った相手がいたかもしれませんが、ティターンズの実権を握ったところでエゥーゴに敗れ、シロッコの時代がやってこなかった以上は、真実は闇のなかと言わざるを得ないでしょう。

(LUIS FIELD)

【画像】イロモノ? だがそれが良い! こちらがシロッコの制作したMS/MAです(5枚)

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