『戦闘メカ ザブングル』の人型ロボ ハンドルやペダルだけでどう操縦しているの?
『戦闘メカ ザブングル』に登場するロボットは、人型なのに車のようなハンドルとペダル、レバーで操縦されます。そこには舞台となる「惑星ゾラ」の特殊な事情と、原作者のひとり富野由悠季氏の深謀遠慮があったのです。
西部劇のような荒野にリアルな人型メカ
『戦闘メカ ザブングル』は、『機動戦士ガンダム』の富野由悠季氏が手がけ、同作から3年後の1982年に放映されたTVアニメです。
ロボットアニメに西部劇のテイストが取り入れられており、荒れ果てた「惑星ゾラ」で運用される人型メカ「ウォーカーマシン」は、自動車のようなハンドルやペダルとレバーで操縦されています。そのため、当時から「車を動かすような操作系で、複雑な人型メカを動かせるのか?」という疑問が提示されてきました。
ウォーカーマシンは、現代でいう車や重機のような扱いです。乗り込んで旅をする者がいれば、力仕事などの作業に使う者もいます。そして、喧嘩ともなれば鋼鉄の腕や内蔵銃器で派手にやり合い、戦闘中に動かなくなれば乗り捨てられてしまう……といったように、多用途に使われているのです。
そのコックピットには、自動車のようなハンドルとペダル、レバーが備え付けられています。このシンプルな機器で、2本の手足を持つウォーカーマシンを操縦できるのはなぜなのでしょうか。
その答えは、アニメ本編の第1話「命をかけて生きてます」の冒頭で提示されていました。
ここでは「ブレーカー(荒事をこなす人びと)」が敵ウォーカーマシンを襲撃しています。彼らはウォーカーマシンを倒すと「コンピューター・コア」なる部品だけを抜き取り、機体には目もくれずに引き上げるのです。
つまり、盗品に需要がある程度には、コンピューター・コアは他機種への移植や換装ができるということで、現在では考えられないほどに標準化が進んだ状況が垣間見えます。
そうした「高度な部品」を使った上で、操縦が無数のモード切り替えから成り立っているとすれば、ハンドルやペダルでも操作は可能でしょう。
つまり、同じ「ハンドルを回す」動作ひとつとっても、モードによって「進行方向の変更」「重心の移動」「荷物を持ち上げたり、岩を掘る際に対象に狙いを付ける」など、異なった動作をし、実際に各部を稼働させたり、姿勢の制御を行うのがコンピューター・コアである……という仮定です。戦闘シーンで頻繁に見られたレバーやペダルの操作は、このモード切り替えだったのではないでしょうか。
事実、21世紀の我々は、すでにコンピューターの補助を受けつつ「人型メカ」を操作しています。