『ガンダム』のエースパイロット専用機みたいなのって現実の軍隊にもあるものなの?
「ガンダム」シリーズには「シャア専用ザク」に代表されるように、しばしば、エースパイロット専用機(モビルスーツ)が登場します。現実においても、そうしたエース専用機(戦闘機)は存在するのでしょうか。
飛行機の約120年の歴史を振り返ると…?
いわゆるロボットアニメにおいて、エースパイロットが搭乗する専用機は、物語を彩る重要な要素のひとつです。高い性能、個性的なデザイン、そしてパイロットとの深い絆――これらの要素が合わさることで、作品の世界観をより豊かにし、視聴者の心を掴みます。
「ガンダム」シリーズにおけるそうしたエース専用機は、大きく分けてふたつのタイプに分類できます。
ひとつは、「アムロ・レイ」の「ガンダム」をはじめとする主人公やライバルキャラクターが搭乗する高性能機です。これらの機体は、物語のキーとなる戦いで大いに活用され、パイロットの成長とともにその性能を最大限に引き出していきます。
もうひとつは、「ザクIIS型」のように、既存の量産機をベースに、特定のパイロット向けに性能向上ないしカスタマイズされた機体です。パイロットの個性を反映した装備や塗装が施され、そのパイロットの象徴となっています。
これらの設定は、いかにもSF的でロマンにあふれていますが、果たして現実世界において、このような「エース専用機」は存在するのでしょうか。
現代の軍事技術において、エース専用機という概念はほぼ存在しません。戦闘機や戦車は、標準化された設計と大量生産によってコストを抑え、整備や運用の効率を高めることが重視されています。個々のパイロットや兵士に特別な機体を支給することは、コストや運用の面で非現実的です。
しかし歴史を振り返ると、まったくないというわけでもありません。第一次世界大戦時には、エース専用機が実際に存在しました。その代表例が、連合国軍最高のエースパイロットであるフランス人、ジョルジュ・ギンヌメール(撃墜数53機、戦死時世界トップ)が開発に参画した「スパッドS12」です。