ウルトラ怪獣の「テカリ」←あれ何? レッドキングの時は「魚屋」に向かってた?
『ウルトラマン』の怪獣たちは、何やら光沢を放っています。あのテカりの正体、ご存じでしょうか?
あのテカりは「魚」由来? なんで普通の光沢塗料を使わないのか?
ウルトラシリーズに出てくる怪獣の多くは、独特の「テカり」を帯びています。例えば『ウルトラマン』の第3話に登場した「ネロンガ」は、どこか両生類を思わせる粘性の光沢を放っており、それが何とも言えぬ不気味さをかもしていました。また、第8話で初登場の「レッドキング」の首か頭にかけての光沢は、もはやチャームポイントであり、ウルトラ怪獣を代表するテカり方です。
こうしたウルトラ怪獣独特の「テカり」は、どのように作られていたのでしょうか。実はこれに関して、とあるうわさがあります。すなわち、あの独特のテカリの正体は「魚」だというのです。いったい、どういうことなのでしょうか。
ウルトラ怪獣のテカり、ツヤに関しては、たとえば『ウルトラQ』『ウルトラマン』『ウルトラセブン』と、初期ウルトラシリーズにおいて怪獣のギミック全般を担当した倉方茂雄さんが、こんな証言をされています。
「ナメゴンといえば、あの生物的なツヤを出すのに苦労した覚えがありますね。ただ水をかけただけじゃ、照明の熱ですぐ乾いてしまうので、ノリのような粘り気のあるものを表面に塗っていたんです。」(出典:『語れ! ウルトラ怪獣(ベストムックシリーズ・44)』)
やはり「ツヤ」「テカり」に関して制作陣は相当に苦労があったようなのですが、お話に登場する「ノリのような粘り気のあるもの」が何なのかは気になります。依然として、「テカり」の正体は不明のままです。
さてそんななか、初期ウルトラシリーズの怪獣造形を担当した高山良策さんの奥様が、当時の怪獣造形の現場を振り返り、前述のレッドキングについて、こんなことを語っています。
「昔は光沢のある塗料なんて便利なものがございませんでしたから、太刀魚っていうお魚から取っていたんですよね。太刀魚の粉を油性で溶いたものが缶に入ってね。とっても高価なものですけど、レッドキングなんかはそれを塗って『これは何の光りですか?』って聞かれたりしましたね」(出典:『怪獣とヒーローを創った男たち』)
高山さんの仕事を手伝っており、材料の買い出しにも行ったという奥様の証言通りなら、うわさの根拠はまさしくここにあり、少なくともレッドキングの光沢の正体は「太刀魚」だったことになります。確かに、当時はそもそも着ぐるみを制作しようにも、あまりノウハウもなく手探りでの創意工夫が必要だったのでしょう。
いずれにせよ、レッドキングの光沢が「太刀魚」由来という証言には納得しかありません。ちなみに太刀魚は、人工真珠やマニキュアにも活用されてきました。観返すときに、太刀魚由来のレッドキングのテカリに注目するとまた面白いでしょう。
(片野)