ド派手なOPが魅力な『マッハバロン』 後世に与えた影響の数々とは 放送開始50年
放送から半世紀が経過した特撮作品『スーパーロボット マッハバロン』。その魅力は古びれることなく、今なお語り継がれる作品です。なにをもって語り継がれるのでしょうか? それらの作品の良さに迫りました。
ロボットアニメ草創期に立ち向かった特撮ロボ作品
本日10月7日は、1974年にTV特撮番組『スーパーロボット マッハバロン』が放送開始した日です。今年2024年で半世紀の時が経ちました。現在でも人気と知名度の高い作品の魅力について振り返ってみましょう。
本作は、前作にあたる『スーパーロボット レッドバロン』に続けて制作され、「特撮ロボット戦記 バロンシリーズ第2弾」と銘打っていました。後に制作された『小さなスーパーマン ガンバロン』を含め、「バロンシリーズ3部作」と呼ばれています。
そのストーリーは、世界征服をたくらむ「ロボット帝国」の首領「ララーシュタイン」からの侵略に立ち向かうため、父親の残したスーパーロボット「マッハバロン」で主人公の「嵐田陽(あらしだ よう)」が戦うというオーソドックスなものでした。
前作とのストーリー的な関連性はありません。しかし、本作の主役ロボであるマッハバロンのデザインが、前作の主役ロボ「レッドバロン」を踏襲した部分も多いことから、続編として当時の子供には認識されています。
このマッハバロンの、当時の巨大ロボとして最高峰ともいえる造形に心奪われた子供も多くいました。もちろん筆者もそのひとりです。当時は『マジンガーZ』から始まった巨大ロボ人気を、『ゲッターロボ』や『グレートマジンガー』が受け継いだころで、ここから本格的な巨大ロボアニメブームが始まりました。
そういった時期ゆえに『マッハバロン』は少々異端で、オイルショック期にもかかわらず特撮作品で巨大ロボを扱うというのは、逆に当時の子供には新鮮に映ったのでしょう。それゆえに子供心に響いた作品として、筆者の記憶に強く残っています。
個人的に特筆したいのが、マッハバロンの発進シーンでしょうか。毎回観ているにも関わらずゾクゾクする発進シーンでした。特撮技術とBGMのハーモニーが素晴らしく、英語によるシークエンスも実写ならではのリアルさを感じるものです。
物語に関しては評価が分かれるかもしれません。なぜなら比較的ビターな展開が多く、その部分に関して人によって感じ方が違うからです。最終回も敵幹部を全滅させるものの、敵組織はララーシュタインと共に健在で、味方側はヒロインが死亡するという展開でした。
当時のTVアニメ作品ではこういった完全決着しない作品は少なくなかったのですが、実写作品では珍しい展開だったといえるかもしれません。それゆえに本作がより印象的に思えたのでしょう。
エンディング曲である「眠れマッハバロン」の歌詞に、「お前が静かに眠れる世の中が平和で一番すばらしい時」という一節があります。これを引用して最終回に対しての考察を行うファンも多く、当時の子供として懐かしく思うよりも、今の大人としての目線で語る人の方が多いかもしれません。
本作が今なお熱く語られることがあるのは、こういった子供時代に気付けなかった点が多く含まれているからなのでしょうか。