人生大体ハードモードな「ガンダム」シリーズの主人公って最後まで悲惨なままなの?
カミーユやアムロの印象が強いためか、「ガンダム」シリーズの主人公は悲惨なラストを迎えることが多いというイメージはないでしょうか。実際、悲劇も見られますが、そうでもない結末を迎えた主人公たちもけっこういます。
アムロの最期は悲惨といえるでしょうか?
『機動戦士ガンダム』シリーズの主人公は、最後は悲惨な運命をたどることが多いといわれていますが、本当にそうなのでしょうか。シリーズから5つの作品をピックアップして検証してみました。
●『機動戦士ガンダム』『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』アムロ・レイ
完全に死んだと断言するわけではありませんが、「アムロ・レイ」の最期の戦いの結末は、悲惨といえるでしょうか。小惑星基地「アクシズ」の落下を阻止し、宿命のライバルである「シャア・アズナブル」とともにサイコ・フレームの光のなかに消えたことは、人によっては悲惨とも言うでしょう。ネオ・ジオンに対しアクシズを譲渡した地球連邦政府高官の愚行に巻き込まれたとも考えられますし、本格的な地球連邦軍の参戦があれば、「ロンド・ベル」(アムロの所属した部隊)が無理をする必要もなかったとも思えます。
しかし、アムロが仮にアクシズ落としを生きながらえたとしても、その後の宇宙世紀の流れや顛末を考えると、ニュータイプが生きやすい世の中は到来しなかったといえます。宿命のライバルであるシャアと運命をともにしたのであれば、それは悲惨なのではなく、あるべくしてこうなった、ふさわしい終わりだったといえるのではないでしょうか。
●『機動戦士Zガンダム』カミーユ・ビダン
「あまりにも高いニュータイプ能力を持った人間はこうなる」見本のような終わりを迎えたのが、「カミーユ・ビダン」でした。
現代のSNSでは、毎日のように欲望や怒りを誘う投稿が行われています。人の意思を感じすぎるカミーユが戦場に出るのは、周囲から無制限に死の恐怖をともなうSNSの投稿を直接、心に投げつけられるようなものでしょう。「パプテマス・シロッコ」を倒した際に心を持っていかれてしまったのは、カミーユ自身が大切な人を次々に失うなど強烈なストレスを受けすぎたため、精神が弱っていた点も大きかったと考えられます。
『機動戦士ガンダムZZ』にて「ファ・ユイリィ」の献身的な看護で笑顔を取り戻せたのは、自他問わない死のストレスから解放されたのも大きかったのではないでしょうか。
●『機動戦士ガンダムZZ』ジュドー・アーシタ
非常に平和な終わり方を迎えたのが、「ジュドー・アーシタ」でした。ハマーンとの一騎討ちに勝利し第一次ネオ・ジオン戦争を終結に導いた立役者です。死んだと思っていた妹の「リィナ・アーシタ」とは無事に再会を果たし、良い関係になっていた「ルー・ルカ」とともに資源採掘艦「ジュピトリスII」へ乗り込み木星に向かって地球圏のゴタゴタからも離れてめでたしめでたし。
なお、ここから先は長谷川裕一先生のマンガ『機動戦士Vガンダム外伝』(KADOKAWA)での話になりますが、ジュドーのその後らしき人物として「グレイ・ストーク」という人物が登場しました。木星船団でリーダーをしている、「ZZ」を改造したと思しきモビルスーツ「ガンプ」を持つ老人で、年齢や経歴からしてジュドーではないのかといわれています。ゲーム『SDガンダムGジェネレーション』シリーズにストークが登場した際には、声優をジュドー役の矢尾一樹さんが務め、非常に良い匂わせになっているのも面白いポイントです。