なぜ「フルアーマーガンダム」が作られた? 大火力MSならガンキャノンがあるのに!
『機動戦士ガンダム』の人気兵器に「フルアーマーガンダム」があります。地球連邦軍が一年戦争時に「FSWS計画」として開発を進めたとされる兵器です。ガンダムより重装甲で、大火力で、白兵戦を苦手とする機体には、すでに「ガンキャノン」があるにもかかわらず、なぜ計画されたのでしょうか?
「戦艦1隻と同等の火力」を持たせたフルアーマーガンダム
『機動戦士ガンダム』の人気兵器に「フルアーマーガンダム」があります。地球連邦軍が一年戦争時に「FSWS計画」として開発を進めたとされる兵器です。
最初のFA-78-1「フルアーマーガンダム(あるいは「ガンダムフルアーマータイプ」)」では、白兵戦用モビルスーツ(MS)である「ガンダム」に増加装甲、追加武装、補助推進装置を後付けで搭載することにより「戦艦1隻と同等の火力」を発揮させようという計画です。
「フルアーマーガンダム」が実際に製造されたかは諸説あり、かつては「計画のみで実際には製造されていない」という説が有力でした。最近の設定では、フルアーマーガンダムや発展型の「ヘビーガンダム」はソロモン戦に参加し、ア・バオア・クー戦でもフルアーマーガンダムが目撃され、交戦していたということになっています。
ゲームに登場する「ハインツ・ベア」中尉は、フルアーマーガンダムでMS37機、艦艇2隻を撃墜し、地球連邦軍で7番目のエースになっているという設定です。
白兵戦用で軽快な機動性が持ち味のガンダムタイプMSに、重装甲、重武装の追加装備を取り付ける「フルアーマー」は、『機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争』で、「アレックス」にチョバムアーマーが装備されたり、『機動戦士ガンダムZZ』で「ZZガンダム」がフルアーマー化されたり、『機動戦士ガンダムMSV-R ジョニー・ライデンの帰還』で、「ガンダムMK-II」がフルアーマー化されたりと、複数例登場するオプションでもあります。
ここで不思議なのは「フルアーマーガンダム」というコンセプトです。フルアーマーガンダムは、ガンダムのようにビームサーベルを備えておらず(備えている設定もあります)、代わりに重装甲で、大火力の機体です。
ガンダムより重装甲で、大火力で、白兵戦を苦手とする機体には、すでに「ガンキャノン」があります。ガンキャノンはガンダムと同じ「V作戦」で開発された機体で、これが早期開発されていたという『機動戦士ガンダムORIGIN』はパラレルワールドですから、開発時期もそれほど変わらないはずです。
つまり、そのような中距離支援用MSとしては「新鋭機」のガンキャノンが存在するのに、いわば「ガンダムをガンキャノンにする」計画を進めているわけです。