黒幕は誰? ハサウェイが「Ξ(クスィー)ガンダム」を受領できたワケ その深慮遠謀
『閃光のハサウェイ』に登場する「Ξ(クスィー)ガンダム」はAE社で作られた最新鋭の「ガンダム」です。そのような機体がどうして環境テロリスト組織の手に渡ったのでしょうか。そこには、彼らの活動の真の目的が見え隠れします。
最新鋭機を横流し? そんなことできるの?
『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』では、環境テロリスト「マフティー」となった「ハサウェイ・ノア」が新型モビルスーツ(MS)「Ξ(クスィー)ガンダム」を駆って、地球連邦政府に反旗を翻します。しかしどうやって新兵器を手に入れたのでしょうか。
●死の商人アナハイム・エレクトロニクス
ハサウェイの「Ξガンダム」は、「アナハイム・エレクトロニクス」で製造された最新鋭の「ガンダム」です。同社は宇宙世紀のガンダムユニバースにおいて、敵味方の区別なくMSを製造、販売していることから「死の商人」と呼ばれています。これまでも地球連邦と取引しながら、戦争中のネオ・ジオンやジオンの残党にMSを供給していたのですから、環境テロリストにMSを供給しても不思議ではありません。
富野監督による小説『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア ベルトーチカ・チルドレン』(KADOKAWA)によると、同社には月の表側の「フォン・ブラウン工場」と裏側の「グラナダ工場」があり、それぞれ別会社という特殊な体制を取っているとのことです。そのため片方で連邦向けのMSを作りながら、もう片方でジオン向けのMSを作っていても情報が共有されない仕組みです。
しかし気になるのはコネクションや資金です。ジオン残党がアナハイム・エレクトロニクスと取引できるのは、アナハイムが一年戦争後に解体されたジオニック社の設備や人員を取り込み、多くのスペースノイド(宇宙移民)を抱え込んでいるなど、歴史的な経緯によるものが大きいといえます。
ところがハサウェイには、アナハイム・エレクトロニクスとの接点がありません。英雄「ブライト・ノア」の息子であるというだけでは取引できないでしょう。いくらテロ組織に資金が集まって経済的に潤沢だったとしても、新兵器を秘密裏に入手するのは無理があります。お金だけで解決できる問題とは思えません。
また原作小説では「Ξガンダム」のパーツから製造元を特定できなかったとのことですから、綿密な隠蔽工作が仕込まれていることは間違いありません。若さと衝動がまさるハサウェイたちでは考えが及ばないほどの老獪さを感じます。