黒幕は誰? ハサウェイが「Ξ(クスィー)ガンダム」を受領できたワケ その深慮遠謀
謎の黒幕「クワック・サルヴァー」

劇場アニメ版『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』ではまだ登場していませんが、実はマフティーの創設者はハサウェイではありません。「クワック・サルヴァー」と名乗る謎の将軍で、元は連邦政府の高官だったとされています。アナハイム・エレクトロニクスに隠蔽工作をさせながら「Ξガンダム」を作らせることができたのは、まず間違いなく彼のコネクションによるものでしょう。
そこで気になるのが、組織の本当の存在意義です。ハサウェイはじめ構成員たちは、地球の環境を保護するため、地球に残る人びとを残らず宇宙に上げようとします。その象徴が地球に残って豪奢な暮らしを楽しむ特権階級である連邦高官です。腐敗した彼らを直接、暗殺することで、地球から人類を遠ざけて地球環境を保護しようというのです。
ある意味では理屈が通っているのかもしれませんが、アニメで描かれたように、一般の人びとに「高邁な理想」は通じません。彼らはただずっとそこに住み続けていただけで、地球を汚そうとかきれいにしようなどと考えたりしないのです。そのズレはアニメ『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』で明確に描かれています。
そして腐敗した特権階級の官僚を直接、暗殺するという手段にも疑念が残ります。何の罪もない多くの人を巻き添えにしながら悪い(悪そうな)官僚を順番に排除していけば、いつか組織がクリーンになってみんな心を入れ替えるのでしょうか。
●実は操られているだけでは?
こうしてハサウェイたちの行動を改めて振り返ると、極めて無理がある活動だということがわかります。理想を信じて命を掛けて活動している構成員は、ただ社会を混乱させているだけかもしれません。
そして、彼らの活動自体が誰かの手のひらの上、という可能性があります。「Ξガンダム」を秘密裏に用意できるだけの政治力や資金力のある人物が作った組織が、地球環境保護の名目で政府高官の暗殺をそそのかす、というのはかなり怪しいといえます。
もしかしたらクワック・サルヴァーは現役の連邦高官で、自分の手を汚さずに政敵を排除するためマフティーを作ったのかもしれません。もちろん、そのような本音についてきてくれる人はいませんから、表向きの理由は地球環境の保護です。
きっと「Ξガンダム」がマフティーの手に渡ったこと、それ自体が高度な政治的陰謀の存在する証明です。戦争で心に傷を負った若者がその善意を逆手に取られて、陰謀のコマにされていると考えるとかなり厳しいリアルを描写しているように見えます。
細部が改変されているアニメ版が原作小説と同じストーリーを辿るか、現時点では分かりません。まだ見ぬ続編に期待しましょう。
(レトロ@長谷部 耕平)






