原作者の書き下ろしも? 素晴らしい最終回で“惜しまれる”2024年夏アニメ
2024年秋アニメの放送と入れ替わるように、夏アニメが最終回を迎えました。なかには素晴らしい最終回に、視聴者から放送が終わってしまうことによる「ロス」を嘆く声もあがっています。
最終回でも続いていく日常
2024年秋アニメが始まる一方で、ほとんどの夏アニメが最終回を迎えました。そのなかには視聴者が「ロス」を感じてしまうほど、素晴らしい最終回を迎えた作品もあります。
※この記事には『ラーメン赤猫』『かつて魔法少女と悪は敵対していた。』『負けヒロインが多すぎる!』の最終回に関する記述があります。
●『負けヒロインが多すぎる!』
まずは、放送が始まると一躍注目を集め、今期の覇権候補として名前があがるまでになった『負けヒロインが多すぎる!』です。この作品は9月28日に最終回を迎えました。恋愛でフラれた「負けヒロイン」に焦点を当て、失恋を乗り越えて前を向いていく日常を描いた青春ラブコメです。
同作では作品のディテールを高めるために、ほかでは見ないほど徹底したこだわりが話題となりました。例えば「勝ちヒロイン」の魅力を際立たせるように、自然な胸の動きを追求する珍しい役職「バストコーディネーター」を起用しています。
最終回は原作者の雨森たきび先生が、アニメのために書き下ろしたオリジナルストーリーが展開されました。主人公の「温水和彦(CV:梅田修一朗)」が、ヒロインのひとり「八奈見杏菜(CV:遠野ひかる)」に「架空の彼氏がいる」という設定を捏造するため、文芸部の仲間たちと偽装デートを楽しむ姿がコミカルに描かれています。
続編の告知などがないままに最終回は締めくくられ、視聴者からは「普段あんまり学園ラブコメとか見ないけど、面白かったからロスが続きそう」「まだまだ彼女たちの日常の続きが見てみたかった」と終了を惜しむ声が見られました。
●『ラーメン赤猫』
続いて、2024年9月19日に放送終了した『ラーメン赤猫』は、ラーメン店で働くかわいらしい猫たちに癒やされた作品です。
猫が営むラーメン店「ラーメン赤猫」を舞台に、人間のアルバイト店員「社珠子(CV:折原くるみ)」と、店長の「文蔵(CV:津田健次郎)」をはじめとするスタッフの猫たちとの温かい交流が描かれます。
最終回では、かつて珠子の上司だった男性が赤猫に来店し、彼女に心ない言葉を浴びせますが、スタッフ(猫)が悪質な客として追い返しました。その後、珠子は赤猫のアルバイトから正社員に昇格し、終わりというよりも新しい始まりのような形で物語は幕を閉じます。
心優しい世界に視聴者は心をつかまれ、「今期のアニメで一番の喪失感」「終わるのが寂しい」「これはもう『おかわり!』しかない」といった声があがっています。最終回では続編の告知はないものの、12月21日、22日開催予定の「ジャンプフェスタ2025」では「少年ジャンプ+10周年ステージ」でイベントが予定されています。続編制作の発表はあるのでしょうか?
●『かつて魔法少女と悪は敵対していた。』
ほかには、9月24日に最終回を迎えた『かつて魔法少女と悪は敵対していた。』の粋な演出も話題になりました。悪の組織に所属する参謀「ミラ(CV:小野友樹)」が、敵対する幸薄そうな魔法少女「深森白夜(CV:中原麻衣)」にひと目惚れし、組織の一員としての立場と彼女への想いの間で葛藤しながらも親交を深めていきます。
最終回では、ミラと白夜が公園でいつものように顔を合わせ、甘酸っぱいやり取りを繰り広げながら、普段通りの日常が続いていく物語が描かれます。エンドではなく「ENDLESS」と結ばれ、放送が終わっても登場人物たちの日常は終わらないことを予感させる演出で締めくくられました。
最終回らしさはあまりありませんが、原作マンガも連載途中の2015年に作者の藤原ここあ先生が逝去されたため、結末が描かれないまま未完となっています。そうした背景から「これからもふたりの関係が続いていく最高の最終回だった」「こんな終わりがベストかも」といった好意的な意見が多くあがっていました。
(LUIS FIELD)