『鉄血のオルフェンズ』鬱エンドにいまだ割れる評価…じゃあどうすりゃよかったのさ!
『鉄血のオルフェンズ』は「ガンダム」シリーズのなかでも鬱成分が多すぎることで知られる作品です。その結末には賛否両論あり、しばしば話題にのぼってきました。いったいどうすれば、その物語はうまく着地できたのでしょうか。
少年兵たちの戦いは無駄なあがきだったのか?

『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』(以下、鉄オル)は、ガンプラの好調な売上に反して「ガンダム」シリーズでも屈指のビターエンドを迎えたことで知られ、ファンのあいだで大変な議論を巻き起こしました。肯定派と否定派の両方を満足させる終わり方はなかったのでしょうか。
※本記事には物語の核心に関するネタバレが含まれます。ご留意ください。
●あの結末は最初から決まっていた!?
『鉄オル』でもっとも激しい議論が起きたのは、主に2期の後半です。「ヒューマンデブリ」と呼ばれる使い捨ての少年兵から、民間軍事会社を運営するまで身を立てた「鉄華団」が、世界の治安を維持する巨大組織「ギャラルホルン」によって崩壊させられる展開が大きな話題になりました。
最終的に団長の「オルガ・イツカ」はヒットマンの凶弾に倒れ、無敵の強さを誇る「ガンダム・バルバトス」とパイロットの「三日月・オーガス」は、敵との一騎打ちではなく、衛星軌道上から非人道兵器「ダインスレイブ」を乱れ撃ちされて大破寸前まで追い込まれ撃破されます。鉄華団は崩壊し、その名を歴史に残すのみとなったのです。
最終回放送後、この展開に結局は悪の体制側が勝つのか、と一種のむなしさや怒りを感じたファン、無学な少年兵たちが調子にのったのだから当然の結果だと煽るファン、都合のよい展開が多すぎるのでは? というファンなどが熱い議論を交わしていました。
もっとも2022年に掲載されたアニメ系ウェブサイト「Febri」(一迅社)のインタビューのなかで、長井監督は「最初から方向性が決まっていた」と回答しており、若者たちが滅びに向かって突き進んでいくというコンセプトがあったことは間違いありません。つまり全滅エンドは不可避だったといえます。
しかしオルガや三日月たち鉄華団が壊滅するクライマックスでも、より多くのファンを納得させられるアイデアはあったかもしれません。悲劇的な最終回でも高い評価を得ている名作はあるのです。