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『鉄血のオルフェンズ』鬱エンドにいまだ割れる評価…じゃあどうすりゃよかったのさ!

ヒントは「デロイア独立戦争」

物語冒頭から朽ちてました。プラモデル復刻キット10種セット「太陽の牙 ダグラム 40周年記念コレクターズボックス」(童友社) (C)サンライズ
物語冒頭から朽ちてました。プラモデル復刻キット10種セット「太陽の牙 ダグラム 40周年記念コレクターズボックス」(童友社) (C)サンライズ

『太陽の牙ダグラム』は「惑星デロイア」を舞台に、ゲリラ組織「太陽の牙」が独立を目指して戦うSFロボットアニメです。1981年から1983年まで全75話が放送され、高い評価を獲得しました。「ダグラム」とは主人公「クリン・カシム」の愛機で「太陽の牙」の主戦力の「コンバットアーマー」(ロボ)の名称です。

 本作では第一話の冒頭で「朽ち果てたダグラム」が登場する衝撃的な演出があります。そのときの流れるモノローグはアニメ史に残るほど印象的で、作品の方向性を示す重要な役割を果たしました。

「鉄の腕は萎え、鉄の脚は力を失い、埋もれた砲は2度と火を噴く事はない、鉄の戦士は死んだのだ。狼も死んだ。獅子も死んだ。心に牙を持つ者は全て逝ってしまった」

 つまり『太陽の牙ダグラム』では、あらかじめ主人公たちの敗北、あるいはダグラムの破壊が確定しているのです。このクライマックスに向けて物語は動き出します。そこには、若さと理想だけでは政治を動かすことはできないという、ほろ苦い現実が描かれており、政治を知らないまま突き進んだ結果、悪い大人にたぶらかされるなど、巨大組織に潰された鉄華団と重なる点が多いのです。また、どちらもプラモデルが好評だった点も似ています。

●鉄華団の敗北自体は問題ではないのかも?

 オルガや三日月といった主要キャラが軒並み死んでしまうラストには賛否両論があり、当時の議論を振り返ると、もっとも問題になっているのはプロセスだったようです。全滅エンド否定派であっても、展開に説得力さえあれば、怖いもの知らずで無謀な鉄華団が現実とぶつかって敗北するのは仕方がないと考えるファンは一定数、見られます。

 インタビューで語られた通りビターエンドにすると最初から方針が定まっていたのなら、冒頭で結論を見せてしまうという『ダグラム』方式が良かったかもしれません。『鉄オル』もまた『ダグラム』のようにTVアニメ1期1話、あるいは2期の冒頭で朽ち果てたバルバトスや鉄華団の墓標を描き、そこを訪れる「アトラ」や「クーデリア」ら主要キャラを描いていたら、鉄華団が破滅に向けて突き進んでいく展開にも納得感が出たでしょう。視聴者はどこで彼らが間違えたのか、未来から逆算して見守る視聴体験ができたはずです。

 何とかハッピーエンドに辿り着けるのではないか、とハラハラしながら視聴していたファンや、オルガの苦悩や半身不随になった三日月の頑張りが無駄になったと感じたファンも、「ここで判断を誤ったのか」「こうやって彼らは最後まで突き進んでいったのか」と納得できたのではないでしょうか。

(レトロ@長谷部 耕平)

【宇宙服の下は…!】こちらが物語を彩ったヒロイン「クーデリア」と「アトラ」です(4枚)

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