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ウルトラマンは一度も「シュワッチ」と言ってない? 独特過ぎる「かけ声」が誕生したワケ

「シュワッチ!」誰もが知るウルトラマンのかけ声は、いったいどのように誕生したのでしょうか。特撮黎明期における天才たちの仕事を振り返ります。

「シュワッチ」ではなく「SHWACH」……で、なんと読むのか?

 「ウルトラマン Vol.6」DVD(円谷プロダクション)
「ウルトラマン Vol.6」DVD(円谷プロダクション)

 ウルトラマンといえば、「シュワッチ」です。

「ヘア!」や「ダア!」もよく言っている気もしますが、ひとつ選ぶならば「シュワッチ」なのです。今思えば、あまりにも独特な「シュワッチ」というかけ声は、果たしてどのようにして生まれたのでしょうか。また、そもそも誰の声なのでしょうか。

 こうした「シュワッチ」への疑問に真正面から向き合った書籍があります。河崎実さんによる快著『ウルトラマンはなぜシュワッチ!と叫ぶのか?』(メディアワークス )。河崎実さんといえば『いかレスラー』『大怪獣モノ』など話題作を多く手がけた映画監督であり、特撮関連本を何冊も執筆されてきた業界随一の特撮オタクでもあります。同書を道標とし、「シュワッチ」の謎を紐解いていきましょう。

 まず「シュワッチ」はどのようにして誕生したのか、という疑問から入るべきなのかもしれませんが、同書ではいきなり強烈な結論を叩きつけてきます。いわく「ウルトラマンは『シュワッチ』とは言っていない!」とのこと。……これはどういうことなのでしょうか。

 大前提、『ウルトラマン』の台本に「シュワッチ」というセリフがあったわけではありません。このかけ声はウルトラマンの生みの親である飯島敏宏監督が試行錯誤の末に作り出したものでした。

 飯島監督は新たなヒーローの声を考える際にまず、ご自身が慣れ親しんだアメコミの擬音表現、「GWAAAOR!」「ZHWAAA……」を参考にします。そのなかで目に留まったのが「SHW AA……」という叫び。日本語だと「シュワー」と発音できるものです。さらに迫力を加えるために「CH」をくっつけ、独自の「SHWACH」というかけ声にたどり着いたのです。ここまで簡単に書きましたが正直、天才的な感覚としかいいようがありません。

さて、この「SHWACH」は「シュワッチ」と発音できそうではありますが、『ウルトラマン』劇中での発音は「シュワッチュ」あるいは「シュワッキュ」だったのです。

例えば第10話「謎の恐竜基地」において、初めてウルトラマンは怪獣ジラースとの格闘中に「シュワッチ」と思しき声を発しますが、これも厳密にいえば(あるいは、河崎実さんが断定するところ)「シュワッチュ」なのでした。

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