『ウルトラマン』「見た目そっくり」な怪獣ピグモンとガラモン でも微妙にデザイン違う?
人間に味方する愛らしい怪獣ピグモンが、地球を侵略するために送り込まれたロボット怪獣ガラモンとそっくりであることは有名な話です。でも、どうしてこんなに似ているのでしょうか? その理由に迫ります。
日本の、Kawaii Kaiju!
かわいくもあり、恐ろしくもある――日本の怪獣を端的に表現するならば、こんな感じでしょう。たとえば「エイリアン」シリーズに登場する地球外生命体「ゼノモーフ」も、まがまがしさと美しさという相反する要素を併せ持った素晴らしいビジュアルの持ち主ではあるものの、グロテスクなデザインであることを否定する方はいらっしゃらないはずです。
『遊星からの物体X』の物体こと「ドッグ・シング」然り、「プレデター」シリーズの異星人「ヤウージャ」然り、海外モンスターのメインストリームがグロカッコいい路線であることは間違いありません。
もっとも『グレムリン』の大ヒット直後は、『まんちぃず』や「クリッター」シリーズのようなグロカワ系のモンスター映画もたくさん作られたのですが、こちらは一過性のブームで終わってしまいました。
一方、日本の怪獣デザインは、あまりグロテスクな方向に舵を切ることがありません。もちろん、何事にも例外はあるので、それこそ『エイリアン』や『遊星からの物体X』の影響下にある怪獣も少なからず存在するのですが、どこか愛嬌が感じられるルックスのほうが主流といっていいと思います。
また、愛らしさのみに振り切った怪獣も珍しくなく、その代表格として「友好珍獣ピグモン」が挙げられるのではないでしょうか。人間の子供程度の背丈(設定身長は1m)で、ピョンピョンと小さく飛び跳ねるさまも非常にキュートな1体です。
さらに友好珍獣なる肩書きが示すように、どういうわけかピグモンは人間に味方します。翻訳機を介せば会話することも可能というぐらい知能が高く、遭難した人間と遭遇した際は、その命を長らえさせるために食料や水の調達すらしていました。
また、凶悪な怪獣が迫ってくれば、危険を顧みず囮役を買って出ることも珍しくありません。いわゆる自己犠牲の精神まで持ち合わせているのです。彼(彼女?)に命を救われた人間が「怪獣のなかにもこんな善良なやつを作った神を……僕は信じるようになりました」と語るくらいですから、まさに生まれついてのベビーフェイスといえましょう。
さて、ピグモンのデビュー作である『ウルトラマン』第8話「怪獣無法地帯」は、どくろ怪獣レッドキング、有翼怪獣チャンドラー、地底怪獣マグラー、怪奇植物スフラン、そしてピグモンと5大怪獣が登場する大サービス巨編でありました。もっとも番組の予算も無尽蔵ではないため、完全新規造形だったのはレッドキング(と着ぐるみではないスフラン)のみで、残りの怪獣たちは既存の着ぐるみを改造することでコストカットを図っています。
そう、ピグモンも例外ではありません。ピグモンの元になったのは、前作『ウルトラQ』の代表選手ともいえる隕石怪獣ガラモンの着ぐるみでした。といっても、ガラモンとピグモンにデザイン的な違いはほとんどありません。怪獣ファンでもなければ、両者のフィギュアを並べても違いが分からないことでしょう。ただ、せっかくピグモンを取り上げるのですから、ここではちょっとだけ詳しく解説してみたいと思います。