『ウルトラマン』「見た目そっくり」な怪獣ピグモンとガラモン でも微妙にデザイン違う?
意外と違う!? ピグモンとガラモン
ガラモンは元々、龍の顔をした多角獣を想定して脚本が書かれていたものの、デザイナーの成田亨さんは「魚のコチか何かの正面のアップ写真がありましたが、その口が面白かったので、まず口を描き、犬のような鼻と人間の様な眼をつけ」たと語っています。その発想のジャンプ、まさに天才の仕事ですね。また、ガラモンは侵略者が送り込んできたロボット怪獣なのですが、一見するとそうは見えない点も名獣の名獣たるゆえんでしょう。
そしてガラモンの中には、高橋実(稔)さんという低身長の俳優が入っていました。ガラモン最大の見せ場としてダム破壊のシーンがあるのですが、このときのダムのミニチュアセットの制作費を抑えるため、ガラモンを小さく作る必要があったからだと伝えられています。結果、デザイン画では5等身だったガラモンは、ほぼほぼ3等身の寸詰まったスタイルとなり、その大きさも約1mという非常に小ぶりな着ぐるみになりました。このあたりの見てくれのかわいらしさが、マスコット怪獣として再登板される決め手になったであろうことは想像に難くありません。
なお、ピグモンのスーツアクターは、高橋さんではなく、子役の藤田修治さんに交代と相成りました。その理由は病気だったとも、体力的な問題だったともいわれていますが、いずれにせよ藤田さんは高橋さんよりも身長が少し高く、ガラモンの着ぐるみは首(にあたる部分)や足などを延長されます。
また、撮影とイベント展示で抜け落ちたトゲが修理され、再塗装もなされているため、よくよく見ればガラモンとピグモンの区別はつくわけですね。とはいえ、非常にそっくりです。
しかし、どうしてピグモンとガラモンが似ているのか、劇中で説明されたことはありません。ちなみに前述のマグラーは透明怪獣ネロンガの、さらにネロンガは地底怪獣パゴスの着ぐるみを改造したもので、マグラーもまたウラン怪獣ガボラに改造されています。
もっというとパゴスは、東宝から借り受けた地底怪獣バラゴンの着ぐるみが元になっており、最新作『ウルトラマンアーク』にて「ネロンガ、ガボラ、パゴス、マグラー……この4種類の怪獣は、祖先が共通であると考えられている」と解説されるくだりが登場しました。まあ、一種の楽屋落ちなんですが、こんなふうにピグモンとガラモンの知られざる関係性が明かされる日もやってくるかもしれませんね。
(ガイガン山崎)
【著者プロフィール】
ガイガン山崎
“ 暴力系エンタメ” 専門ライター、怪獣造形集団「我が家工房」主宰。怪獣映画&変身ヒーロー番組を中心に、洋画、海外ドラマ、アニメ、漫画、アメコミ、プラモデルなどに関する原稿のライティングを手掛ける。なお、暴力系エンタメとは、劇中で発生したトラブルの一切を功夫、銃撃、巨大ロボット、変身といった暴力的な手段で解決する作品群を指す。