マグミクス | manga * anime * game

「地味だね」 7つ集めたら完結予定だった『ドラゴンボール』鳥山先生を奮起させた一言

鳥山明先生の代表作『ドラゴンボール』は、今でこそ世界中のファンから親しまれている大人気コンテンツですが、連載当初は低迷期を迎えたこともありました。そういったなか、敏腕編集者のひと言がきっかけとなり、鳥山先生が路線変更をしたことで、人気を獲得していくことになるのです。

人気獲得のきっかけは「天下一武道会」?

懐かしの少年悟空「ドラゴンボール それいけ!筋斗雲!!-孫悟空:少年期- 青道着」(バンダイ) (C)バードスタジオ/集英社・東映アニメーション
懐かしの少年悟空「ドラゴンボール それいけ!筋斗雲!!-孫悟空:少年期- 青道着」(バンダイ) (C)バードスタジオ/集英社・東映アニメーション

 鳥山明先生のマンガ『ドラゴンボール』といえば、今では国内にとどまらず、世界的に有名な作品です。しかし、1984年から「週刊少年ジャンプ」で連載が開始された当初は、人気低迷期を迎えたこともありました。しかし、連載中のある時期以降、高い人気を獲得していくことになるのです。

 そもそも『ドラゴンボール』は、1980年から連載が始まった『Dr.スランプ』を終わらせる代わりに、さらに面白いマンガを描くことを条件に誕生した作品でした。『DRAGONBALL大全集』第2巻に掲載された鳥山先生へのインタビューによると、当初は『西遊記』をもとにした話にする予定で、ドラゴンボールを7つ集めた段階で完結させようと考えていたそうです。

 しかし、連載が始まってからは、しばらく人気が出ませんでした。そして、担当編集者だった鳥嶋和彦さんに「キミの主人公は地味だね。だから人気がないんだ」と指摘され、奮起した鳥山先生は「じゃあ人気出しますよ」と、物語の方向性を変えることにしたのです。

 確かに、連載が始まった1984年第51号から1985年4・5号までは、掲載順が1番目や2番目だったものの、ドラゴンボールを集め終えて「亀仙人」との修行に入る前のエピソードにあたる其之二十三「ドラゴンチーム解散」を掲載した1985年23号では、10番目になっていました。

 そして、鳥山先生は鳥嶋さんのひと言をきっかけに、「強くなりたい」という部分を全面に出した「孫悟空」を描くこと、さらに『Dr.スランプ』で人気だった「ペンギン村グランプリ」やミニイベント、トーナメントを参考に、「天下一武道会」を登場させることにしたのです。

 当時のことを振り返った鳥山先生は、『ドラゴンボール大全書』のインタビューで「いったん悟空以外のキャラをひっこめて、亀仙人を再登場させて、クリリンという新キャラをたてて、そうしたら、いきなり人気が出てきちゃって」と語っていました。

 また、掲載順を見ていくと、天下一武道会が始まった1985年32号では8番目で、それから2番目、10番目、3番目、7番目と推移します。天下一武道会をきっかけに、徐々に掲載順位を上げていき、次第に上位のランキングに落ち着くようになるのです。鳥山先生も自覚しているようで、前述のインタビューで「天下一武道会を始める前までは、あんまり人気がなかった」とも述べています。

 その後、『ドラゴンボール』はマンガだけでなく、アニメ、映画、ゲームにも展開して人気が拡大し、今では世界的なコンテンツとなっています。鳥山先生を焚きつけた鳥嶋さんのひと言で、転換期ともいえる天下一武道会が誕生したと考えれば、鳥嶋さんのアドバイスなくして『ドラゴンボール』の成功はなかったとも言えるでしょう。

 TVアニメ最新作『ドラゴンボールDAIMA』の放送は、フジテレビ系列で2024年10月11日(金)23時40分から始まります。悟空たちが今度はどんな冒険を繰り広げてくれるのか、楽しみに待ちましょう。

(LUIS FIELD)

【画像】え…っ? 「クールビューティーからのギャップでゲロカワ」 こちらが新作『DAIMA』で子供姿になっちゃった「人造人間18号」です

画像ギャラリー