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シリーズの原点『タイムボカン』が確立した偉大なる「フォーマット」とその「最終回」

最終回で「ダイナモンド」を発見したが……?

おなじみ悪玉トリオの原点。「タイムボカン Vol.9 ダイナモンドが…だペッチャ」DVD(ジェネオンエンタテインメント/現:NBCユニバーサル・エンターテイメントジャパン)
おなじみ悪玉トリオの原点。「タイムボカン Vol.9 ダイナモンドが…だペッチャ」DVD(ジェネオンエンタテインメント/現:NBCユニバーサル・エンターテイメントジャパン)

 さて、その『タイムボカン』の最終回はどのようなストーリーだったのか、覚えておいででしょうか。

 最終回となる第61話「ダイナモンドを発見だペッチャ」は、あるハプニングからスタートします。第60話でシンドバッドの世界を冒険した丹平たちはその帰路、「ドタバッタン」のタイム電池が限界を迎えてしまい、どことも分からない時代へと不時着してしまいました。

 丹平たちが研究所へ戻っていないことに気付いた「マージョ」たち悪玉トリオは、丹平たちが世界最高級の宝石である「ダイナモンド」を発見したと考え、ドタバッタンに仕掛けておいた誘導メカを使い、後を追い出発します。

 しかしマージョたちがたどり着いたのは、なんと現代。しかも丹平たちの家とマージョたちの家のちょうど中間の位置にある、遊園地のなかだったのです。

 遊園地の森のなかで、マージョたちは大量のダイナモンドを発見するも、その場にはすでに丹平たちも辿りついていました。マージョは丹平たちを押しのけダイナモンドを運び出そうとすると、なんとダイナモンドはマージョの手のなかで、石ころになってしまうのです。

 実はダイナモンドは宇宙からもたらされた隕石で、地球の空気に触れると輝きを失う性質を持っていました。そうとは知らずダイナモンド探しに全財産を使い果たしてしまったマージョは泣き崩れ、怒り狂います。

 怒りのあまり、丹平たちに最後の戦いを挑んだマージョたちは、ドタバッタンを追い詰めるも敗北してしまいました。屋敷も半壊します。その日の夜、マージョたちはいずこともなく去って行ったのでした。

 子供の頃は素直に主人公側を応援していたものですが、大人になって改めて『タイムボカン』を観ると、マージョはじめ「グロッキー」「ワルサー」のトリオが夢を追いかけ、そして敗れる姿に感情移入してしまいました。しかも、姿こそ消したものの一度戻ってきてリベンジを宣言しています。

「歴史」や「物語」について多くの学びを得ることのできる『タイムボカン』は、一方で、悪玉トリオの敗れても決してあきらめない姿勢こそが、最高の学びだったのではないでしょうか。

(早川清一朗)

【画像】こちらが丹平たちのメカ「タイムメカブトン」「タイムドタバッタン」「タイムクワガッタン」です(5枚)

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