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FC版『ドラクエ1・2』の「ふっかつのじゅもん」間違いに号泣! 当時の子供はどうやって乗り越えたのか

ファミコン版の初代『ドラクエ』や『ドラクエ2』にはセーブ機能がなく、主に王様が教えてくれる「ふっかつのじゅもん」を書き写して、再開時に入力するシステムでした。呪文を1文字でも間違えるとゲームが再開できなくなるため、当時のプレイヤーたちは、あの手この手を使って正確に記録する方法を編み出していました。

スマホがなかった時代だからこそ生まれた「思考錯誤」

初代で「ふっかつのじゅもん」を教えるのは、王様の役目だった。画像はファミコン版『ドラゴンクエスト』
初代で「ふっかつのじゅもん」を教えるのは、王様の役目だった。画像はファミコン版『ドラゴンクエスト』

 ファミコン版の初代『ドラゴンクエスト』や『ドラゴンクエストII 悪霊の神々』の「ふっかつのじゅもん」は、初代で20文字、『2』で最大52文字あります。ゲーム再開時に、1文字でも呪文を間違えると表示される「じゅもんが ちがいます」というフレーズに、絶望した経験を持つプレイヤーは少なくないでしょう。

 今ならスマホのカメラで撮影すれば済む話ですが、当時は当然、そういった便利なものはありませんでした。カメラで写真を撮るにしても、フィルムカメラしかない時代で、フィルムを使い切ってから現像に出さないと割に合わなかったのです。当時のプレイヤーたちは、どのような方法で「ふっかつのじゅもん」を記録していたのでしょうか。

 書き写しのミスを防ぐための例を挙げると、「ふっかつのじゅもん」を2通り記録する方法があります。呪文は王様に聞けば何回でも教えてくれ、聞くたびに呪文の文言が変わっているため、答え合わせとしての利用できません。それでも「2通りメモしておけばどちらかは合っているだろう」という希望的観測から生まれたやり方です。最大52文字の呪文を2通り記録するのは時間も手間もかかりますが、ゲームを再開できない悲しみを思えば「めんどくさい」とは言っていられませんでした。

 ほかには「音読しながら記録する」方法もありました。当時のTVは解像度が低く、「ぺ」と「べ」や「ぬ」と「め」などの違いが判別しにくかったのも、記録ミスの原因のひとつだと言われています。音読することにより、1文字ずつしっかり確認できるようになって、ミスがなくなったというプレイヤーもいました。こういった方法も手間と時間はかかるものの、お金をかけずにできる有効な対策だと言えるでしょう。一方で「ふっかつのじゅもんを大声で読みながらメモしていたら、親に心配された」と、ちょっと恥ずかしい経験をした人もいたようです。

 なかには、さらに手間をかけた人もいたようで、「ふっかつのじゅもん」の画面をビデオに録画する方法も見受けられました。

 VHSビデオテープやビデオデッキなどが別途必要になりますが、呪文を直接記録できる点に安心感があります。ただし、録画によって画面の解像度が下がるため、「ぱ」と「ば」などの判別が難しかったという声もありました。当時はビデオデッキが高価だったり、ファミコンをビデオデッキにつなぐ方法が難しかったりしたことから、子供にはややハードルの高い対処法でした。

 このようにあの手この手を使って記録しても、「ふっかつのじゅもん」を間違える、という場面にはどうしても出くわしてしまいました。それでも当時は健気に、気を取り直して残っているじゅもんでやり直していたものです。苦労してもクリアせずにはいられほどの魅力が、初代『ドラクエ』や『ドラクエ2』にありました。

『ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』からは「ぼうけんのしょ」と呼ばれるセーブ機能が誕生し、「ふっかつのじゅもん」対策は終わりを迎えます。苦労が絶えないシステムだったからこそ、「ふっかつのじゅもん」は何十年経ってもなお、記憶に刻まれているのではないでしょう。

ファミリーコンピュータ版『ドラゴンクエスト』:
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(マグミクス編集部)

【画像】え…やめてぇえええ! コチラが古の「ドラクエ」プレイヤーたちを泣かせるのに使える画像です(3枚)

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