名作から珍作まで…プロレスマニアが語る、思い出のプロレスゲーム「十番勝負」
1980年代から、現実のプロレスブームの変遷に呼応するようにして、さまざまなプロレスゲームが生み出されてきました。「遊べるだけで満足」だった黎明期から、リアルな設定やストーリーで感情移入させる作品など、マニア目線でさまざまなプロレスゲームを振り返ります。
元祖であり、高い完成度だった『ザ・ビッグプロレスリング』

1990年代後半から2000年代にかけて「UFC」や「プライド」の台頭により、プロレスの人気は一時期「冬の時代」と呼ばれるほど衰退したものの、2010年代からまた人気が再燃し、現在では「プ女子」と呼ばれる女性も会場に訪れ、再び勢いを取り戻しています。
過去には、このスポーツエンターテイメントを題材にしたゲームが数多く登場し、多くの人を楽しませてきました。1969年生まれの筆者も、幼少期からガチガチのプロレスファン。もちろん、ゲームもそれなりにプレイしてきたのですが、ここで懐かしの「飛龍十番勝負」や「ジャンボ鶴田試練の十番勝負」のごとく、マニア目線で選んだ「プロレスゲーム十番勝負」をご紹介したいと思います。
栄えある勝負の初戦はやはり、プロレスゲームの元祖であり、1983年の登場時すでに高い完成度を誇っていたアーケード版『ザ・ビッグプロレスリング』(テクノスジャパン)です。アントニオ猪木のテーマ曲「炎のファイター」にのって登場するサニーとテリーの「ジェミニブラザース」が、マッド・ブル・ジャイアントとブラッディマスクのCP側と闘うタッグマッチとなっているのですが、アラフィフ世代ならテーブルタイプのアーケードゲーム機で遊んだ覚えのある方も多いのではないでしょうか?
同作は一応、新日本・全日本公認らしいのですが、技は「ジャーマンスープレックス」や「コブラツイスト」、「エンズイギリ」などが中心で「新日寄り」のゲームだったと思います。ゲーム中の全日的要素は勝利後に流れる「日本テレビ・スポーツテーマ」くらいです。それでも、ゲームセンターで遊べる「プロレスのゲーム」というだけで、かなり満足した記憶があります。
『ザ・ビッグプロレスリング』があまりに新日寄りだったためか、翌1984年にセガから登場した『アッポー』は、そのタイトルからもお分かりのとおり、ジャイアント馬場が一応主役キャラとなっています。このゲームはレスラーを選択することが可能で、試合もシングルです。馬場をモデルにした「G・BABU」やブッチャーをイメージした「A・BUCHIE」など8人のレスラーが登場するのですが、アンドレ・ザ・ジャイアントをモチーフにした「A・GIANTS」は微妙に大きく設定されており、マニア心をくすぐります。とはいえ、ゲームスピードやグラフィックは先に登場した『ザ・ビッグプロレスリング』の方が、筆者としては好みでしたが……。