遅すぎた名機「ゲルググ」の実に豊富なバリエーション「ZZの頃にも現役って本当?」
「ゲルググ」といえば、アニメ『機動戦士ガンダム』に登場したジオン公国軍の次期主力量産機と目された機体です。量産が遅すぎた悲運の機体ながら、数多くのバリエーション機が存在しました。
量産化が遅かった悲運の名機
TVアニメ『機動戦士ガンダム』には、さまざまなモビルスーツが登場します。ジオン公国軍の主力量産機といえば「ザクII」を思い出す人が多いと思いますが、「アムロ・レイ」の乗る「ガンダム」を相手にするには、力不足は否めませんでした。
そこで、ビーム兵器を所持する次期主力量産機として開発されたのが「ゲルググ」です。
ゲルググは、ジオン初の携行型のビーム兵器「ビーム・ライフル」を装備し、近接用の武器として「ビーム・ナギナタ」を所持しているのが特徴です。また、連邦が誇るガンダム以上の高出力を誇る、非常に優秀な機体でした。
そのようなゲルググの先行量産型は二十数機生産され、アニメ劇中で、「シャア・アズナブル」が搭乗した赤く塗装されたゲルググは、その「先行量産型ゲルググ」のうちの1機です。なお、プラモデルなどでは「シャア専用ゲルググ」の名称で呼ばれています。
カタログスペックではガンダムすら上回る性能を持つゲルググですが、実際に量産され、戦線に大量投入されたのは、宇宙要塞「ア・バオア・クー」攻防戦の頃です。時すでに遅く、敗色濃厚だったジオンサイドに優秀なベテランパイロットはほとんど残っておらず、学徒動員された兵士が主に搭乗しました。
せっかくの高性能機も、練度の低い学徒兵に乗りこなせるわけがなく、本来のパフォーマンスを発揮することなく、激戦のなかで次々と撃破されていきます。そのため「遅すぎた名機」という不名誉な称号を得ることになりました。
●ひそかに広がった名機の系譜
そのような悲しい背景を持つゲルググには、一年戦争のなかで改修されたり、のちに強化発展されたりと、さまざまなバリエーション機体が存在します。かなり細分化されて種類が多いので、以降、ガンプラ化されているシリーズ機体のみピックアップして挙げていきます。
まず一年戦争時のゲルググに、機動性を向上させるための増速用ブースターパックを換装させたのが「高機動型ゲルググ(ゲルググ高機動型)」です。あえてビーム・ライフルではなく実弾武器を持ち、ジェネレーターの出力を機動面に全振りしたピーキーかつ高性能な機体でした。
ゲルググの背部にビーム・キャノンを換装したのが「ゲルググ・キャノン」です。砲撃仕様ながら、そこまで機体重量は増えておらず、近接戦闘も十分可能でした。ゲルググの量産初期はビーム・ライフルの歩留まりが悪く、水陸両用機のメガ粒子砲用のデバイスを転用してビーム・キャノンパックを製造したといわれています。
『機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争』に登場したのが「ゲルググJ(イェーガー)」です。一年戦争末期、ゲルググを精密射撃仕様に改良が施された機体で、出力調整が可能な大型ビーム・マシンガンを装備しています。また、3基のバーニアユニットが追加されたことにより、総推力は通常のゲルググの3倍以上という驚異の数値を誇ります。
そして『機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY』に登場したのが「ゲルググM(マリーネ)」です。劇中ではシーマ艦隊に配備されており、おもに「海兵隊」にて運用されました。腕部に内蔵武器を備えるほか、プロペラントタンクを装備することで航続距離を伸ばすことが可能です。
また、「シーマ・ガラハウ」が、「マリーネ・ライター」と呼ばれるゲルググMの指揮官機に搭乗していたことでも知られています。