過疎地出身、ずれた秀才と裏の顔を持つイケメンの恋? 『スキップとローファー』
「月刊アフタヌーン」にて連載中、「マンガ大賞2020」で3位を獲得したほのぼの青春マンガ『スキップとローファー』。石川県のはしっこから東京の進学校に主席入学した主人公・みつみが、不器用ながらも友情や淡い恋心を育てていく青春スクールコメディです。
どこかずれた秀才と裏の顔を持つイケメンのほのぼの青春コメディ

「マンガ大賞2020」で3位を獲得した『スキップとローファー』は、「月刊アフタヌーン」にて連載中の高松美咲先生による青春コメディマンガです。2020年4月現在3巻まで発売されており、ネット上でも「なんて温かいマンガなんだ」「あまりの愛おしさに悶えた」と評判です。
主人公の岩倉美津未(いわくら・みつみ)は、中学の同級生が8人しかいない石川県の過疎地出身で、東京の進学校に主席合格。「東京で官僚としてキャリアを積み、定年後は地元で市長になる」という壮大な夢を描きつつ、気合いを入れて高校生活を始めます。地元にはいなかったイケメンやギャルなど、さまざまなタイプの同級生たちと関わり戸惑いつつ、友情や恋心を育んでいきます。
頭はいいのにどこかずれているみつみのキャラクターは個性的で、自己紹介で「(官僚になりたい理由は)人の上に立つべき人間だからです!」と渾身のギャグを言ってみるも撃沈。新入生代表として挨拶をするものの、疲れや緊張で吐いてしまうなど、入学早々「裏番長」とあだ名をつけられてしまいます。そんなみつみを最初は皆、遠巻きに見ていますが、みつみの素朴さや一生懸命さに徐々に心を開いていき、いつのまにかみつみはギャルや人見知りの子とも仲良くなっていきます。
みつみをはじめ、イケメンでありながら実は裏の顔を持つ志摩聡介(しま ・そうすけ)、志摩に近づくためにみつみと仲良くなろうとする江頭ミカ(えがしら・みか)、幼馴染で親友のふみなど、それぞれのキャラクターの背景や感情がきめ細かに描写されており、読みながらつい感情移入してしまいます。
高校生活の人間関係もリアルに描かれており、入学初日に大人数でお昼を囲む女子や、初日の夜にふみと電話をするみつみの描写を見て「こういう光景あったな」「自分も同じように悩んでいたな」と思わず過去を懐かしく振り返ることも。各キャラクターが人間関係で悩む描写はありつつも、登場人物に根っからの悪人がいないので、安心して読み進めることができます。
また、登校初日からみつみについて回る聡介の裏の顔にも注目です。イケメンで普段は人当たりがいい聡介ですが、実は「父が俳優」という触れられたくない事実を持っています。そのことに触れてしまった先輩には「わかりませんかね、きかれたくないんですよ」と容赦なく言い放つなど、聡介の心のなかが今後どう描かれていくのか、明らかになるのかも気になるところです。
みつみと聡介の恋の行方は? みつみの夢は叶うのか? など気になる展開もある一方で、皆でカラオケに行ったり、初めておしゃれカフェでタピオカを飲んだりと、ほのぼのとした日常感も味わえる本作品。楽しくほっこりした気持ちになりたい方は、読んでみてはいかがでしょうか。
(新美友那)