改変した部分だけで「R指定」は確定? 原作読んでても度肝抜かれる実写化映画
数々のマンガ実写化作品のなかでも、原作の過激な描写はファンが注目するポイントのひとつといえるでしょう。なかには、グロテスクな描写や激しいバイオレンスシーンによってR指定を受けながらも、高く評価された作品もありました。
極限まで追い詰められた人間の恐ろしさも再現
マンガのなかには物語の残酷さを表現するために過激描写を盛り込み、実写映画化された際に映画倫理機構(映倫)から「R指定」を受けた作品も多くあります。容赦のない過激な描写が、どこまでリアルに再現されているのかも気になるところでしょう。なかには、改変によってさらにえぐい要素が増えた作品もありました。
●『ドクムシ』R15+
2016年に公開された『ドクムシ』(原作:八頭道尾/作画:合田蛍冬)は、ネット小説『コドク~蠱毒~』(著:八頭道尾)をベースにコミカライズされた同名作品を、実写映画化したホラー作品です。知らぬ間に謎の建物に閉じ込められた大学生の「レイジ(演:村井良大)」やキャバ嬢の「アカネ(演:武田梨奈)」ら、見ず知らずの7人が生死をかけたサバイバルゲームを繰り広げます。
そのゲームは、7日間監禁された7人に大きな寸胴鍋と肉切り包丁が用意され、殺し合いを行い、最後に生き残ったひとりだけが助かるというものです。
極限状態から理性を失い、徐々に壊れていく登場人物たちの壮絶な姿は、鬼気迫るものがありました。内臓が飛び出したり、足がちぎれたりといったスプラッター要素に加え、男女がからむ描写など、家族で観るには気まずい場面も生々しく描かれています。苦手な方にはおすすめできませんが、ネット上では「強姦、惨殺、内臓、人肉鍋までやるとはかなり攻めてる」「人間の醜さがあらわになる展開が面白かった」などと評価された作品です。
●『オールド・ボーイ』R18+(4Kリマスター版)
2003年に制作された韓国映画『オールド・ボーイ』 は15年間の監禁生活を強いられた男の復讐劇を、容赦のないバイオレンス描写で描いたサスペンススリラーです。原作は1996年から1998年にかけて「漫画アクション」(双葉社)にて連載された、『ルーズ戦記 オールドボーイ』(原作:土屋ガロン/作画:嶺岸信明)で、物語の構成や監禁期間(原作は10年)に改変が加わり実写映画化されました。
主人公「オ・デス(演:チェ・ミンシク)」はあるとき何者かに拉致され、長期間監禁されます。15年後に突如解放された彼は、監禁の理由を解き明かすために「死のゲーム」を持ちかけられ、監禁中鍛え続けた肉体を武器に答えを求めて奔走します。
映倫にて「刺激の強い銃器等による殺傷、性愛描写」によりR指定された本作は、ハサミや折った歯ブラシ、トンカチなど日用品の凶器を用いた生々しいアクションシーンや、拷問中に歯を抜くといった目を背けたくなるような場面が含まれています。さらに、登場人物が壮絶な運命に翻弄される救いのない展開から「戦闘や拷問シーンもグロいが、内容自体が過激」「後味の悪さもえぐい」と、ストーリー全体の残酷さに衝撃を受けた声も多い作品です。
終盤に明かされる主人公と黒幕のとある「禁忌」にまつわる衝撃の事実も、実写映画オリジナルの要素で、数々の残酷描写よりもここがいちばん「アウト」な部分かもしれません。
本作は2004年の第57回カンヌ国際映画祭で、審査員長のクエンティン・タランティーノ監督から絶賛を受け、グランプリを受賞しています。その脚本の完成度への評価は高く、2013年にはハリウッドでリメイクされました。さらに、2022年5月には4Kリマスター版が公開され、映像の鮮明さが増したことで、初公開時のR15+指定からR18+指定へと変更され、さらなる衝撃を呼んでいます。