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「ドラクエ・FFに食われた」不遇すぎる名作レトロゲームたち 「シナリオは最高だった!」

『ドラクエ』『FF』の影響力が強いRPG黄金期に、さまざまな作品が登場しました。そのなかで、確かな評判を得ながらも、広く知られる機会を持てず、一部のファンのみに知られたシリーズも少なからず存在します。そんな切ないゲームに、いま一度ご注目下さい。

発売日がもう少しズレていたら……悔やまれるシリーズ2作品

2015年リリースのスマホ/PC用ゲーム『ナイトガンダム カードダスクエスト』より。 (C)創通・サンライズ
2015年リリースのスマホ/PC用ゲーム『ナイトガンダム カードダスクエスト』より。 (C)創通・サンライズ

 RPGといえば、いまでも「ドラゴンクエスト」「ファイナルファンタジー」を思い出す人が多くいます。その黎明期のファミコン・スーパーファミコン時代ともなれば、この2シリーズは破格の強さを誇り、他を寄せ付けないほどでした。

 国民的な人気シリーズの新作が発売されれば、多くのゲームファンがこぞって手に入れ、熱中します。その影響をダイレクトに受けるのが、人気シリーズと発売日の近い他のRPG作品です。

 誰が悪いわけでもありませんが、人気作と発売日が近くて知られる機会を失い、一部のファンに支持されつつも「もっと評価されていいのに……」とファンに嘆(なげ)かれた作品はいくつもあります。そのなかでも、この2シリーズは特に印象的でした。

●キッズの心をつかんでいた「ナイトガンダム物語」

 ファンの間で強く支持されたRPGのひとつに、「SDガンダム外伝」シリーズがあります。タイトルにある通り『機動戦士ガンダム』関連の作品ですが、もう少し詳しく語るなら、デフォルメ化した『SDガンダム』のなかで、さらにファンタジー世界を舞台とする『ナイトガンダム物語』をゲーム化したシリーズです。

 当時、『カードダス』というトレーディングカードが人気を博しており、『ナイトガンダム物語』もカードダスを通して広く知られました。その『ナイトガンダム物語』がファミコンのRPGとなり、ゲームファンの手元へと届きます。

 1作目の『SDガンダム外伝 ナイトガンダム物語』は、当時のRPGを踏襲したものになっており、基本的な作りは悪くありません。しかし、敵とエンカウントしやすいなど、ストレスを感じる面も少なからずありました。

 そうした前作と向き合ったのか、2作目の『SDガンダム外伝 ナイトガンダム物語2 光の騎士』のゲームバランスはほどよく、移動速度も向上させるなど、ストレスを減らす試みも意欲的に行っています。

 心地よいゲーム進行と魅力的なシナリオの両面で、シリーズの人気を大きく押し上げる地力を備えていた『光の騎士』。その後も、『SDガンダム外伝 ナイトガンダム物語 大いなる遺産』、『SDガンダム外伝 ナイトガンダム物語3 伝説の騎士団』、『SDガンダム外伝2 円卓の騎士』と、多彩なシリーズ展開が続きました。

●「SDガンダム外伝 ナイトガンダム物語」シリーズの悲しい巡り合わせ

 この流れだけを見れば、『光の騎士』をきっかけに、「SDガンダム外伝 ナイトガンダム物語」シリーズが順調に飛躍する道筋のように思われるかもしれません。しかし、意図したものではないものの、「ドラクエ」「FF」の影響が少なからず及んできます。

 まず1作目の『SDガンダム外伝 ナイトガンダム物語』は、1990年8月11日に発売されます。この時は、「ドラクエ」「FF」の発売とあまり被らずに済みました。ただし、本作はまだRPGとしてこなれていない部分があり、全般的に高い評価を得られるとまではいきません。

 しかし、『SDガンダム外伝 ナイトガンダム物語2 光の騎士』は先ほどお伝えした通り、一気に完成度が高まります。シリーズ屈指の出来映えが知られれば、知名度が一気に広まる可能性もありました。

 そんな『光の騎士』(1991年10月12日)が発売される3か月前に、実は『ファイナルファンタジーIV』(1991年7月19日)がリリースされていました。「FF」シリーズ初のスーパーファミコンソフトとなれば、ゲームファンの関心が一気に傾くのも無理のない話です。

「3か月あれば、クリアして『光の騎士』が遊べるのでは」という指摘は一理ありますが、当時はゲームの貸し借りも頻繁だったため、『FF4』の持ち主が遊び終わり、それを友達が借りて遊ぶ時期でもありました。そのため後者のプレイヤーは、『光の騎士』より『FF4』を優先してしまいます。

 また、『光の騎士』はファミコンソフトだったため、『FF4』と比較されるとグラフィックはどうしても見劣りします。ゲームの面白さは遊んでみるまで分かりませんが、その「遊んでもらう」までの道のりに、『FF4』という強敵が立ちはだかっていたのです。

 本シリーズも、1991年12月21日発売の『SDガンダム外伝 ナイトガンダム物語 大いなる遺産』でスーパーファミコンに進出するものの、1992年10月23日発売の『SDガンダム外伝 ナイトガンダム物語3 伝説の騎士団』は再びファミコンソフトになります。しかも『伝説の騎士団』は、『ドラゴンクエストV 天空の花嫁』(1992年9月27日)の翌月発売という、悩ましいタイミングでのリリースでした。

 そして、『SDガンダム外伝2 円卓の騎士』(1992年12月18日)の場合は、なんと同じ発売月に『ファイナルファンタジーV』(1992年12月6日)が登場という展開に。シリーズ作を重ねるごとに、「ドラクエ」「FF」の発売日が近づいてくるかのようでした。

 ここぞというタイミングに、悩ましい被りを招いていた「SDガンダム外伝」シリーズ。少し時期がズレれば、その名がさらに広まった可能性は十分あり、非常に惜しまれます。

【画像】うぉっ、懐かし! こちらが「ドラクエ・FFに食われた」不遇の名作RPGです(5枚)

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