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筒井康隆作品『富豪刑事』アニメ化 映像化された人気作は他にも【3選】

筒井作品ならではのメタフィクション的展開

『パプリカ』画像はDVD(ソニー・ピクチャーズエンタテインメント)
『パプリカ』画像はDVD(ソニー・ピクチャーズエンタテインメント)

 原作小説を巧みにアレンジしてみせたという点では、今敏監督の劇場アニメーション『パプリカ』(2006年)も高く評価されている作品です。サイコセラピストである敦子(CV:林原めぐみ)が夢探偵パプリカとなって、他人の夢(潜在意識)の中へと入っていくSFミステリーです。ヴェネチア国際映画祭に出品され、米国では劇場公開されるなど、海外でも人気を呼びました。

 今敏監督が極彩色で描いた夢の世界に圧倒されます。『地上最大のショウ』『ローマの休日』『コレクター』などの名作映画をモチーフにしたシーンのほか、官能シーン、恐怖シーンも混在し、パプリカと一緒に夢の世界を冒険しているような気分になります。

 クライマックスでは膨れ上がった欲望によって夢があふれ出し、現実世界を侵食するようになります。リアルとフィクションとの境界が消滅し、筒井作品ならではのメタフィクション的展開となっていきます。本作が今敏監督の遺作となったことが本当に惜しまれます。

クリエイターの創作欲を刺激するスーパーヒロイン

 最後に紹介するのは、筒井ファンなら誰もが心をときめかしただろう火田七瀬を主人公にした『七瀬ふたたび』です。他人の心を読む超能力者である七瀬が、異なる超能力を持つ仲間たちと出会い、そして超能力者の存在を否定する武装集団から迫害されていくという悲壮感漂うSFサスペンスです。

 NHK「少年ドラマシリーズ」で多岐川裕美主演作として1979年に放映されたのをはじめ、水野真紀版(1995年)、渡辺由紀版(1998年)、蓮佛美沙子版(2008年)がTVドラマ化されています。「筒井康隆作家生活50周年記念」として、芦名星主演映画『七瀬ふたたび』(2010年)も劇場公開されました。

『時をかける少女』に次いで、『七瀬ふたたび』もたびたび映像化されています。おそらく筒井作品に魅了されたクリエイターは、自分が理想とする七瀬像を自分の手で映像化してみたいという想いに駆られるのではないでしょうか。そのくらい、火田七瀬は魅力的なキャラクターです。

 石原さとみ映画初出演作『わたしのグランパ』(2003年)、河崎実監督のブラックコメディ映画『日本以外全部沈没』(2006年)、岡本喜八監督による音楽コメディ映画『ジャズ大名』(1986年)なども忘れられない作品です。いつか『エディプスの恋人』『旅のラゴス』『驚愕の曠野』あたりも、天才クリエイターによって映像化されれば面白いだろうなぁと思います。

(長野辰次)

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