1度のみならず2度までも? 掲載誌の休刊、廃刊を何度も乗り越えた名作マンガ3選
連載マンガが未完のまま終わってしまう理由のひとつに、掲載誌の休刊や廃刊があげられます。しかし数ある作品のなかには、1度のみならず2度以上にわたって掲載誌が休刊、廃刊に至ったのにもかかわらず、連載を続けてきた不死鳥のようなマンガ作品が存在するようです。
誕生から50年以上連載が続いた伝説の「雑誌クラッシャー」も
掲載誌が休刊、廃刊になるというのは、連載マンガにとって最大のピンチです。結局そのまま打ち切りに追い込まれてしまった作品も数多く存在しますが、逆にそうした困難を幾度となく乗り越え、数奇な運命をたどったマンガも少なくありません。
そのひとつに数えられる作品といえば、やはり聖悠紀先生の『超人ロック』ではないでしょうか。同作は不死の「超人」と呼ばれる超能力者「ロック」が、さまざまな時代でさまざまな人間として活躍していく一代記的SF作品です。もともとは同人誌で発表された作品でしたが、界隈で人気が出て商業誌に進出、1984年には劇場版アニメが制作されるほどの人気作となりました。
そして『超人ロック』を語るうえで欠かせない話題がもうひとつ、それが掲載誌の変遷です。これまで同作は1度や2度では済まない掲載誌の休刊、廃刊を経験しています。もちろん『超人ロック』のせいではありませんが、一部では「掲載誌殺し」「雑誌クラッシャー」などの異名で知られています。
ではここで一気にその変遷をたどってみましょう。まず商業誌へ進出した当初は、少年画報社のマンガ誌「週刊少年キング」で連載が始まりました。しかし1982年に休刊、誌名を「少年KING」に改めて再出発を果たすものの、1988年に休刊となってしまいます。
さらにここからスコラ社の「月刊コミックバーガー」、みのり書房の「月刊OUT」、ビブロス社の「月刊MEGU」など出版社の枠を超え、さまざまなマンガ誌に掲載されてきましたが、その多くが休刊となり、「月刊OUT」のみのり書房に至っては会社自体が解散となってしまいました。
そうした波乱万丈な経緯をたどってきた同作は、2022年10月に聖先生の逝去とともに完結を迎えることになります。最終話は聖先生が遺したネームとプロットをもとに、長年先生のアシスタントを務めてきた佐々倉咲良さんが描き上げ、KADOKAWAの「月刊コミックフラッパー」に掲載されました。ちなみに「月刊コミックフラッパー」は現在も続刊中です。
『超人ロック』ほどではありませんが、この手の話題を語るうえで『強殖装甲ガイバー』の存在も忘れてはなりません。同作は1985年に徳間書店の「月刊少年キャプテン」創刊号から連載が始まりましたが、1997年に掲載誌が休刊となってしまいます。その後、移籍先となる角川書店(現:KADOKAWA)の「月刊エースネクスト」で連載を再開するも、2002年に同誌も休刊へ。2007年に「月刊少年エース」に移籍して以降は、連載が続いている状態です。
ただ実のところ『強殖装甲ガイバー』の現状は長らく休載が続いており、2016年に入ってからは1度も掲載されていません。2度の休刊を乗り越えてきた作品だけに、連載再開を願っているファンも少なくないようです。