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劇場版『ボルテスV』実は42年前にもあった幻の映画企画とその内容 当時の記事を発掘

日本で生まれてフィリピンで爆発的人気を得た『超電磁マシーン ボルテスV』は、そのフィリピンでの知名度はよく語られますが、放送当時の日本国内はどうだったのでしょうか。そこには陽の目を見ることのなかった幻の企画がありました。

放送当時は日本でも人気の高かった『ボルテスV』

オリジナルであるTVアニメ版デザインからの立体化。「超合金魂 GX-31SP 超電磁マシーン ボルテスV CHOGOKIN 50th Ver.」(BANDAI SPIRITS) (C)東映
オリジナルであるTVアニメ版デザインからの立体化。「超合金魂 GX-31SP 超電磁マシーン ボルテスV CHOGOKIN 50th Ver.」(BANDAI SPIRITS) (C)東映

 日本のTVアニメながら、フィリピンで国民的人気作品になるまでの支持を集めた『超電磁マシーン ボルテスV』、その人気から生まれたリメイク作品が、このたび2024年10月18日より国内劇場公開されることになった『ボルテスV:レガシー』です。

 フィリピンで大人気だったという話は、よくマスコミにも取り上げられているのでみなさんもご承知のことでしょう。ところが『ボルテスV』の国内人気に関しては意外と語られていません。はたして日本国内での人気はどの程度のものだったのでしょうか。

『ボルテスV』は、前作『超電磁ロボ コン・バトラーV』の人気から、同系統の作品として1977年6月4日から放送が開始されました。5人のパイロットがそれぞれ5機のメカに乗り、合体して巨大ロボとなって、宇宙からの侵略者と戦うというスタイルです。

 企画は東映テレビ事業部で、制作は創映社(日本サンライズ)、放送局はテレビ朝日、スポンサーはポピー(バンダイ)でした。後に長浜忠夫監督が関わった後番組『闘将ダイモス』を含めて、「長浜ロマンロボット3部作」と呼ぶ人も多くいます。

 しかし、同じスタイルといっても『コン・バトラー』と『ボルテスV』は全く同じというわけではありません。なぜなら『ボルテスV』は前作にはなかった要素をいくつか加えていたからです。

 そのひとつが「ストーリー面の重視」でした。ロボットアニメといえば1話完結が基本であり、新キャラクターの登場やメカのパワーアップといった設定に関わるエピソード以外は飛ばして視聴しても話が通じるものでした。ところが『ボルテスV』には縦軸というべき、連続ストーリーものの要素があったのです。

 それが主人公「剛(ごう)健一」たち剛3兄弟の父親「剛健太郎」との再会のドラマと、「『角』を持つ者が絶対である」という思想を持つ「ボアザン星人」の地球征服軍司令官「プリンス・ハイネル」の出生に関わるドラマになります。この善と悪、両側で動いていくドラマ構成が『ボルテスV』の魅力となりました。

 この、大人の鑑賞にも耐えうる作劇が国内でも『ボルテスV』の人気の要となり、後にフィリピンで大ヒットする要因となったのでしょう。もちろん本来のターゲットである子供の人気も高いものでした。

 本作の主役ロボである「ボルテスV」は、見た目自体は前作の主役ロボ「コン・バトラーV」と大きく変わるものではありません。しかし、ボルテスVを唯一無二の存在としたのが主力武器「天空剣」でした。

 なぜなら剣が定番のトドメ技、いわゆる最大の必殺技となるロボットアニメは、それまでの作品にはなかったからです。現在では剣技でのトドメが定番のひとつですが、その元をたどればボルテスVに行き当たるでしょう。ボルテスVがきっかけで、巨大ロボの必殺技は剣が多くなったというわけです。

 ちなみにボルテスVの必殺技「天空剣・Vの字斬り」は、この後のロボットアニメでもたびたび「○○剣・○○斬り」という形で引き継がれていきました。そして、この流れは「スーパー戦隊シリーズ」の巨大ロボにも引き継がれています。

 もっとも、日本国内での『ボルテスV』の人気を確実なものにした要因は、筆者の私見ですが、「ハイネル」というキャラクターにあるかもしれません。それを支えたのは、作品本来のターゲットにいなかった女性層でした。

【画像】レオタード姿+αが麗しい こちらが例にもれずサービスたっぷりなボルテスチームの紅一点「岡めぐみ」です

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