「ガンダムがなんかキモい」←意図的? 新作『復讐のレクイエム』の大胆な意見具申
Netflixで公開された「ガンダム」シリーズ新作は、ジオンサイド視点の物語ということもあり、おなじみガンダムが敵役で登場します。その姿が怖すぎと評判ですが、同時に気持ち悪さも感じられるのはなぜなのでしょうか。
速さだけじゃない 動きの「なんかヤな感じ」
Netflixにて『機動戦士ガンダム 復讐のレクイエム』が2024年10月17日(木)、配信開始されました。ネット上では「ガンダムが怖い」という感想が飛び交い、ゲーム『ジオニックフロント 機動戦士ガンダム0079』を思い出すという声も聞かれました。
※本記事には作品のネタバレ、および個人的な感想が多分に含まれます。
本作『復讐のレクイエム』には、敵役として地球連邦軍のモビルスーツ「ガンダムEX」が登場し、圧倒的な強さで主人公サイドのジオン公国軍を文字通り蹂躙(じゅうりん)していきます。その姿は素直に恐怖といえるもので、同時に、その動きの滑らかさや速さといった挙動の端々から、なにかしら根源的な気持ち悪さを喚起されるようにも感じられました。
この「気持ち悪い」という感情は、当初「不気味の谷」から沸き起こるものかと受け止めました。「不気味の谷」とは元々、ロボットの外観が人に近づくにつれ、一定の閾値(しきいち)を超えると急激に親和感が減少し、そのあとまた上昇するという仮説であり、CG表現にも使われる言葉です。しかし、登場人物やほかのMSに対してはそのように感じることもなく、作品全体の品質としては、不気味の谷などとうに越えたものでした。つまり「ガンダムEX」だけが異質なのです。
ご存知のように、「一年戦争」におけるモビルスーツ「ガンダム」はゲームチェンジャーであり、その意味で「異質」というのはある意味、当然なのかもしれません。しかしながら上記したような、根源的な嫌悪感とでも言うべき気持ち悪さとはまた別のお話のはずです。つまりこの「恐怖」とは少し異なる「気持ち悪さ」は、おそらく意図的に演出されたものなのでしょう。
シリーズ作品の「顔」でもある「ガンダム」を、なぜそのように描くのでしょうか。それは「ガンダムEX」のパイロットの正体がわかると、実に腑に落ちるものでした。