『ワンピ』尾田先生も「ほー。びっくり」 作者を驚かせた「SBS」での鋭い指摘
『ONE PIECE(ワンピース)』の質問コーナー「SBS」では、ときに読者の「細かすぎる質問」が作者の尾田栄一郎先生を驚かせることもあります。ファンならではの、作品の細部にまで及んだ質問から明らかになった意外な真実や、尾田先生の創作秘話を振り返ります。
たった1コマに込められた情報を読み取るファンも!

マンガ『ONE PIECE(ワンピース)』のコミックスに掲載されている質問コーナー「SBS」は、読者からの質問に作者の尾田栄一郎先生が直接回答してくれる、単行本限定のコーナーです。ときには笑える質問や、読者と尾田先生のおふざけのようなやりとりもありますが、本編に関わる重要な情報や意外な真実が明かされる場でもあります。特に読者からの「細かすぎる」指摘を受け、尾田先生を驚かせた内容もありました。
コミックス105巻に収録されたSBSでは、「ワノ国」の少女「お玉」に関する質問がありました。「お玉ちゃんの両親の墓標には『黒炭』の文字が見て取れます…!」と、お玉と「ワノ国」の人びとを悪政で苦しめた「黒炭オロチ」の血筋について鋭い指摘があったのです。
原作ではかなり小さい文字で書かれており、虫眼鏡などで拡大しても読めるかどうか……といった具合でした。
尾田先生はこれに対し「そんな細かいとこ気づいちゃいましたか!」「これは、はっきり言っておきましょう。お玉は『黒炭玉』が本名です」と言い切ったうえで、お玉が黒炭の一族であることを理由に「恨まれるべきなんでしょうか?」と問いかけています。
コミックス88巻のSBSには、主人公「モンキー・D・ルフィ」の考える「美女の基準」についての質問がありました。ルフィの過去の発言から「ルフィの『美女』という決め手は何ですか? なぜアルビダが美女で、ナミやロビン、ハンコックなどの『美女』たちは美女ではないのですか?」と投げかけています。
確かに『ONE PIECE』には多くの美女が登場しますが、ルフィがその美しさについて口にしたのは、「アルビダ」に対する「おれはお前みてェな美女知らねェぞ」というセリフだけでした。このことについて、尾田先生は「アルビダを美女と言ったことはあります確かに」と認めますが、ルフィの言う「美女」とは「分類でしかないんです」と回答しました。
尾田先生によると「整った顔かそうでないかくらいルフィもわかってますが、だからどうってわけではないんです」と、ルフィに独自の「美女」という基準があるわけではなく、ただアルビダの特徴のひとつとして「美女」という言葉を使っただけだと解説しています。
また、64巻のSBSでは、尾田先生の描くキャラクターへの「細かすぎる」質問もありました。「私はマンガをよくよんでいますが、キャラクターがセリフを言うときのシーンで、口を閉じているマンガと閉じてないマンガがあります。~中略~尾田先生はONE PIECE描くとき、キャラの口とかも気にして描いているんですか?」という、なかなか気が付きにくい特徴に関するものでした。
この質問に対し、尾田先生は「ほー。びっくりしました。相当のマンガ好きですねー。」と驚いています。そのあと「口を閉じたままキャラクターを喋らせる人はいますね。逆に僕はそれができません。描いてて気持ち悪いんです。喋ってるのに口が開いてないのは、おかしいと思っちゃうんですね。」と、自身の考えについて述べています。
さらに尾田先生は「『雑でもいいからとにかく伝える』『伝えられなきゃ描く意味はない』これが、僕のマンガの『絵』に対する考え方です」と、マンガを描く際のこだわりを語っていました。このように、読者の細かすぎる質問から、尾田先生の創作秘話を垣間見ることができたのです。
この記事で紹介した質問は一例ですが、SBSでは、このような読者からの細かすぎる質問がたびたび寄せられます。なかには、思わず誰かに話したくなってしまうものもあるかもしれません。
(LUIS FIELD)