「有害図書」扱いマンガを実写化? 油断してるとぶっ飛ばされる衝撃の「R指定」映画
国内外を問わず、年々さまざまな作品が制作されるマンガ、アニメの実写化映画ですが、原作遵守の過激なシーンを理由に、年齢制限が設けられることも珍しくありません。また、別枠の「過激映画」もありました。
ここまで激しければ年齢制限も納得?
過激なシーンが続出する成人マンガの実写化企画は、公開前から反対意見が目立つことも珍しくありません。一方で、「さすがにあのシーンは無理じゃない?」「逆に実写で再現したら評価する」と原作ファンにとってハードルの高いシーンの描写は、実写化の成功を判断する基準のひとつでもあります。
また近年は、逆に全く過激な作品でなかったはずが、年齢制限をかけられるのも仕方ないほどに大胆なアレンジが加えられた例も増えており、SNSでは「小さい頃に好きだった作品がこうなるとは」「子供がうっかり観たらトラウマ待ったなし」と衝撃を受けるファンもいるようです。
●『マッド・ハイジ』(R18+)
1974年に放送されたスイスの作家ヨハンナ・スピリによる小説『ハイジ』を原作とするアニメ『アルプスの少女ハイジ』は、その後日本のアニメを大きく発展させた宮崎駿氏や高畑勲氏によって制作された名作です。
アルプスの大自然を舞台に、主人公の「ハイジ」が祖父の「アルムおんじ」やヤギ飼いの少年「ペーター」、さまざまな動物たちと穏やかな日々を送るかわいらしいイメージが定着していますが、原作小説がパブリックドメインになった後に、まさかのスイス本国出身の監督とプロデューサーが『ハイジ』をB級エログロバイオレンス作品にアレンジした『マッド・ハイジ』が制作され、2023年に日本でも公開されました。
本作は、24歳になったハイジ(演:アリス・ルーシー)が、禁制の闇チーズを売りさばいていた恋人のペーター(演:ケル・マツェナ)を見せしめで殺され、唯一の身寄りだった祖父「アルペヒ」(演:デヴィット・スコフィールド)も山小屋ごと爆破されたことから、スイスを牛耳る独裁者の大統領「マイリ(演:キャスパー・ヴァン・ディーン)」への復讐を決意するというストーリーです。
ペーターの頭が爆散、ハイジが敵を文字通り「真っぷたつ」にするなどスプラッター描写が多く、「グロテスクなシーンが苦手な人は絶対目を背けるレベル」「ここまで徹底的にやられると麻痺してくる」と驚く人もいました。お馴染みのチーズも、熱々の状態で人体破壊に使われています。
本来は配給会社が問題のシーンにぼかしを加えてR15+指定での公開を目指していたものの、スプラッター描写のあまりの激しさからぼかしが画面いっぱいに加わってしまうことを理由に修正を断念、最も年齢制限の厳しいR18+作品として一般公開された……という背景からも、今作の凄まじい描写がうかがえるのではないでしょうか(後にR15+版も公開)。
ちなみに、監督のサンドロ・クロプシュタインさんとヨハネス・ハートマンさんは、原作小説よりも先に日本アニメ版に触れていた世代のファンとのことで、アニメでおなじみのシーンの数々が『マッド・ハイジ』でも再現されており、リスペクトも随所に感じられます。日本公開の際はハイジ役を内田真礼さんが務めた吹き替え版も話題になりました。
●『ミスミソウ』(R15+作品)
『ハイスコアガール』や『サユリ』で知られる押切蓮介先生原作の映画『ミスミソウ』は、過疎の進む地方の小さな町を舞台に、クラスメイトからの陰惨ないじめの末、家族を火事によって失った主人公「野咲春花(演:山田杏奈)」が復讐を誓う作品です。
東京から転校してきた「よそ者」であることを理由にいじめられたうえ、精神的な支えだった家族まで失う展開はまさに「胸糞」といえます。春花が序盤で見せていた儚げな雰囲気から一転、放火に関与していたクラスメイトを次々と惨殺していく姿には、「トラウマレベルで吐きそうになった」「マンガのグロさが実写はさすがに緩和されるのでは?と思ったら全然そんなことなかった」「カラーになって生身の人間が演じるから余計きつい」などと、驚きの声も上がっています。
実写映画では「ボウガンが頭部に命中し、脳が飛び出して死亡」「包丁で斬りつけられて逃げる最中、古井戸に落ちて失血死する」といった、男子生徒たちの生々しい死亡シーンこそ若干改変されていましたが、春花の妹「祥子(演:玉寄世奈)」が燃やされた家から骨すら見えている無惨な姿で出てくる描写には「流血とは違ったエグさで心にきた」と呆然となった観客もいたようです。
原作とは違い、あるキャラが最後に生存する展開も、救いというよりもさらに残酷に見えてしまう衝撃作となりました。