『ドラクエ3』小説版で描かれた「カンダタ」の意外な素顔 「カッコいいやん!」
『ドラクエ3』の「カンダタ」といえば、覆面にパンツ一丁という特徴的な姿を連想する人が多いことでしょう。しかし小説版では、見た目はもちろん内面もかなり異なります。新書版の描写を交え、小説版「カンダタ」の意外な姿をお届けします。
剣技が冴え、男気にあふれるカンダタ
『ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』がファミコンソフトとして始まり、リメイクや他機種版などが登場したほか、ゲームブックにCDドラマなど、ゲームの枠を超えた活躍も見せました。
そのひとつに、高屋敷英夫氏が手がけた小説版『ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』もあります。小説版では、人物の描写や展開などが肉付けされており、ゲーム版との違いも含め、興味深い内容が綴られています。
「覆面パンツ姿に斧」という衝撃的なビジュアルで話題となったゲーム版の「カンダタ」も、小説版では大きく変更されており、その変わりようはゲーム版しか知らないプレイヤーにとって衝撃的かもしれません。
●小説版の「カンダタ」はちゃんと服着てるから!
ゲーム版では「覆面パンツ姿に斧」だったカンダタですが、小説版ではまず「頭巾をかぶった巨漢」という出で立ちで登場します。
そして、小説版の主人公である「アレル」とその仲間たちに敗れた後、その頭巾をはぎ取られます。その際、総髪で眉が濃く、眼も大きく我の強そうな鼻梁(びりょう)──と描写されており、総じて「いかにも盗賊の首領といった粗野な顔」とのことです。
武器は「剣」を使い、もちろん服も着ているため、「覆面パンツ姿に斧」のイメージとはかけ離れています。後のシーンになりますが、挿絵(※椎名咲月氏がイラスト担当した新書版)に描かれたカンダタを見ると、髪と髭に覆われた顔と精悍な顔立ちと相まって、まるで獅子のような勇ましい風貌です。そこに、「覆面パンツ姿に斧」というイメージは欠片もありません。
●主人公のピンチに駆けつける「イケオジぶり」
カンダタのキャラクター性や活躍度合いも、小説版ではひと味違います。まず小説版のカンダタは義賊として扱われており、彼を好む庶民も少なくありません。
アレル一行との戦いでは巧みな剣さばきで圧倒し、一瞬のひるみがなければカンダタが勝利してもおかしくないほどでした。また、オルテガが死んだと聞くと愕然とし、後に盗賊から足を洗うなど、彼なりに思うところがあったのだと、意外な人間性を垣間見せます。
また物語の終盤で賢者がカンダタのもとを訪れ、キメラの翼を渡します。それは、「大穴からアレフガルドに向かったアレルたちを追いかけよ」という導きでした。カンダタは、導かれる前からすでに「アレルを見守りたい」と考えており、渡りに船とばかりに迷いなく大穴へと向かいます。
そして、300もの魔物たちに囲まれて窮地に陥っていたアレルたちの元へ、武闘家の「カーン」とともに訪れるカンダタ。ぞっとするような大軍を前に臆することなく、アレルたちを先に進ませるため、その全てを引き受けました。
その後も八魔将のひとり「クラーゴン」と死闘を繰り広げたり、最後まで戦い続けたためにアレフガルドに残ることになったりと、小説版のカンダタは波乱万丈な人生を辿(たど)りました。そんな彼の「イケオジぶり」を直接知りたい人は、ぜひ小説版をご覧ください。
(臥待)