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長期連載で画力が上がりまくった漫画家 「本当に同じ人?」「継続する大切さ」

数々の人気マンガを世に輩出する漫画家でも、連載当初は絵が粗削りなこともあります。しかし、なかには長期連載を経て、見違えるほど絵が上達した漫画家もいました。

上達しすぎてもはや別のマンガ?

『アゴなしゲンとオレ物語』第1巻 著:平本アキラ(講談社)
『アゴなしゲンとオレ物語』第1巻 著:平本アキラ(講談社)

 どんなに絵がうまい漫画家でも、すべての人が最初から上手だったわけではありません。なかには、「継続は力なり」を体現するように、連載を通じて初期からどんどん画力が向上し、読者を驚かせた漫画家もいます。

●平本アキラ先生

 画力が異様に上がった漫画家といえば、アニメ化や実写化もされた『監獄学園』の作者である平本アキラ先生は外せません。平本先生は「週刊ヤングマガジン」(講談社)にて1998年から2009年まで掲載された代表作『アゴなしゲンとオレ物語』(以下、アゴゲン)の連載を経て、画力が上達しました。

 本作は零細運送会社の経営者「ゲン」(以下、ゲンさん)と、一緒に働く「ケンヂ」の日常を描いたギャグ作品です。ゲンさんは奥さんにとんでもない一言を言っては家を出ていかれるダメ人間で、ケンヂもまた浮気癖があるヒモ男です。ふたりの周りにはクセがある人物が集まり、破天荒な日常を繰り広げます。

 連載初期の頃は書き込みの量が多く味のあるタッチでしたが、画力はそこまで高くなく、線が真っすぐに引けていなかったり、全体的にバランスが崩れていたりすることもありました。しかし、終盤になると見違えるほど上達し、線が細くなったほか、スクリーントーンの技術も明らかに進化しています。特に女性キャラの変化はすさまじく、1巻から登場するソープ嬢のハルちゃんは、同一人物とは思えないほど美人に変貌していました。

 ネット上でも「平本アキラはアゴゲン初期からの画力の伸び率がすさまじいな」「アゴゲンの初期の絵と今の絵が違い過ぎてもはや同一人物の作画とは思えない」などと、画力が一気に成長した漫画家といえば平本先生を思い浮かべる人も少なくありません。

●藤巻忠俊先生

「週刊少年ジャンプ」(集英社)にて2009年から2014年にかけて連載されていた『黒子のバスケ』の作者である藤巻忠俊先生も、執筆中に画力が格段に上がりました。

 中学バスケで無敗を誇る「帝光中学」には、天才5人がそろった世代があり、「キセキの世代」と呼ばれていました。しかし、キセキの世代には公式記録に残っていない「幻の6人目」がいるといううわさがあったのです。その幻の6人目である「黒子テツヤ」は、誠凛高校バスケ部へ入学し、大型新人「火神大我」とともに日本一を目指します。

 言わずと知れた人気作ですが、藤巻先生の初連載作品ということもあって初期は絵の評価が高くなく、一部読者から試合の迫力が欠けているともいわれていました。しかし、終盤では驚くほど画力が上がり、試合のスピード感や緊張感が伝わるような迫力がある絵に変わっています。

 特に変化が分かりやすいのが、連載開始時の「週刊少年ジャンプ」2009年2号の表紙と、本作の続編『黒子のバスケ EXTRA GAME』の最終回が掲載された「ジャンプNEXT!!」2016年vol.1の表紙です。このふたつは同じ構図で描かれており、比べると上達具合がよく分かります。

●諫山創先生

 大人気作品『進撃の巨人』を手がけた諫山創先生も、序盤と終盤で見違えるほどに画力が上達しました。

 本作は圧倒的な力を持った巨人へ立ち向かう人間の姿を描いた、ダークファンタジー作品です。序盤から壮大な世界観や予想外の展開が話題を呼び人気を博しましたが、絵は平面的で線は安定しておらず、読者からの評価も高くありませんでした。しかし、後半になると影の入れ方がうまく奥行きが増し、巨人の恐ろしさがより伝わってくるほど迫力ある絵に進化しています。

 イラスト・マンガ描き方ナビのインタビューによれば、『進撃の巨人』の連載が決まる前に、諫山先生がマガジン編集部に本作の元となる作品を持ち込んだところ、「絵に力がある」と評価されていたそうです。一方で、諫山先生自身は当時の絵を「プロを目指せるレベルではなかった」と認めていました。

 ファンの間でも、「連載から絵柄はあまり変わってないけど、画力がどんどん向上していってるの好き」「久しぶりに1巻を読んでみたら絵が変わりすぎてびっくりした。上達し過ぎ(笑)」といった声が見られ、その変貌に驚く人は多いようです。

(LUIS FIELD)

【画像】え…っ?「同じ人が描いたと思えない…」 こちらが読者もびっくりな平本先生作品の「画力の変化」です(6枚)

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