『ドラクエ4』クリフトが「ザキ連発」は公式公認だったのか… 意外と「スゲえ」な面もあるAIの迷惑行動
ファミコン版『ドラクエ4』は、「ドラクエ」シリーズ初となるAIシステムが戦闘に導入されました。仲間の戦闘コマンドをいちいち入力しなくても、作戦に応じた行動をしてくれるメリットがある一方で、ツッコミを入れたくなる残念な行動を取るキャラもいました。
思い通りにならないからこそ面白い!?
ファミコン版『ドラゴンクエストIV 導かれし者たち』(以下、ドラクエ4)の第5章での戦闘は、「ガンガンいこうぜ」「みんながんばれ」など全6種類の作戦があり、選んだ作戦に応じて味方キャラが行動するシステムでした。しかし、当時は「めいれいさせろ」がなく、AIの精度も未熟だったことから、予想外の行動をするキャラたちに翻弄されたプレイヤーも少なくありません。
「ドラクエ」ファンの間で周知の事実と言えるほど有名なエピソードといえば、「クリフト」が「ザキ」、「ザラキ」を連発するという現象でしょう。相手が「キングレオ」だろうが「デスピサロ」だろうが、ザキを唱えまくる姿に「いや、回復呪文唱えて欲しかったのに!」と困惑したプレイヤーが続出しました。
書籍『ドラゴンクエスト30thアニバーサリー ドラゴンクエスト名言集 しんでしまうとはなにごとだ!』で堀井雄二氏は、クリフトがザキを唱える理由を「効いた場合の評価値が高いのでAIがその行動をとってしまうからでした」と語っています。
しかし、その後AIが賢くなっていき、PlayStation版『ドラクエ4』のクリフトは全くザキを唱えなくなります。すると、堀井氏が「これはクリフトらしくないだろうと思い、AIがどう判断しても、一定の確率でザキを唱える、という修正を出したこともありました」と述べていることから、公式も公認の行動になったと言っても差し支えないでしょう。
ほかにも「トルネコ」は、こちらの作戦とは無関係に独自の行動を取ることがあります。「敵1体から、その敵がドロップするアイテムを100%手に入れる」という有益な行動がある一方で、「ぼーっと みている」という何もしないで終わる無益な行動もあるのが悩ましいところでした。勝手な行動ばかりするために馬車行きにする人もいれば、「MPを使わずいろいろやってくれるのがいい」と一軍にする人もいて、プレイヤーによって評価が分かれていたようです。
また、トルネコの特殊行動のひとつ「つまらないダジャレ」は、成功すれば敵が笑い転げて1ターン行動不能にする効果があり、なんとラスボスである「デスピサロ」にも効き目があるのです。「人間への憎しみに満ちたデスピサロが、トルネコのダジャレで笑い転げるなんて……」と、彼のギャグセンスに目を見張る声もあがりました。
ほかには、キャラクターではなく作戦が原因で困った行動が多発することもありました。ファミコン版『ドラクエ4』の作戦のひとつ「いろいろやろうぜ」は、ミネアに「銀のタロット」を使わせたいときや、メタル系モンスターに「せいすい」で攻撃したいときに有効な作戦です。ところが、勝手に「キメラの翼」を使って町へ戻されたり、誰も死んでいないのに「ザオラル」を唱えられて1ターン無駄になったりと、余計なことをするキャラクターが続出したのです。この作戦を有効に使うには、「使いたいアイテム以外は持たせない」「ルーラを使うキャラはパーティーに入れない」などの事前準備が欠かせませんでした。
このようにツッコミどころの多かった『ドラクエ4』の戦闘シーンですが、それがキャラクターの個性となり、公式公認のネタになっているのが面白いところでもあります。思い通りに動いてくれない仲間たちにヤキモキする一方で、予想外の行動に助けられたり、笑わせてもらったりした思い出があるプレイヤーも多いのではないでしょうか。
ファミリーコンピュータ版『ドラゴンクエストIV 導かれし者たち』:
(C)1990 ARMOR PROJECT/BIRD STUDIO/SPIKE CHUNSOFT/SQUARE ENIX All Rights Reserved.
(マグミクス編集部)