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「部屋を暗くして観たい」の声多数 明るい場所では”ほとんど見えない”『チ。』が異彩を放つ

80本以上放送されている2024年秋アニメのなかでひときわ異彩を放っているのが『チ。- 地球の運動について -』です。初回から拷問シーンが登場しますが、それを我慢してでも観たいと思わせる重厚なストーリーが『チ。』にはありました。

放送時間の約8割が「暗くてみえない」

画像はTVアニメ『チ。 ―地球の運動について―』場面カット (C)魚豊/小学館/チ。 ー地球の運動についてー製作委員会
画像はTVアニメ『チ。 ―地球の運動について―』場面カット (C)魚豊/小学館/チ。 ー地球の運動についてー製作委員会

 2024年秋アニメが放送開始され、1か月が経過しました。秋クールは80本以上の作品が放送され、続編や再アニメ化のものも少なくありません。

 そのなかでひときわ異彩を放っているのが『チ。- 地球の運動について -』です。「ビッグコミックスピリッツ」(小学館)にて連載された同題マンガ(作:魚豊)を原作としており、第26回手塚治虫文化賞のマンガ大賞といった賞をいくつも受賞しています。内容は地動説を証明するために自らの信念と命を懸けた人びとの物語です。

 初回放送は2話連続で放送され、初回では「爪を剥がす」「焼かれる死体」となかなかインパクトの強いシーンが満載でした。それ以降も拷問シーンが多いため、そういった描写が苦手な人にはオススメできないかもしれません。

 またこの作品はあくまで天体についての内容です。そのため夜の描写が多く、アニメの大部分がほぼ真っ暗という状況が続きます。それによって、一部の視聴者から「観にくい」「何をやっているのか分からない」との意見も聞かれました。しかし、その暗さがわずかな光の描写をより際立たせており、ろうそくの炎や星の輝きが分かりやすいことで、『チ。』の世界へより没入した感覚を味わえます。

 もちろんストーリーも高い評価を受ける理由のひとつです。史実とフィクションが織り交ぜられた内容で、「どこまで真実だったのか?」と気になって実際に調べた視聴者もいたようです。

 そして、主人公が変わっていく部分も見どころでしょう。何のゆかりもなかったはずの人が「地動説」を受け継いでいく様子に、現在を作り上げている人びとの歴史や、今アニメ化された意味を考えさせられます。最近、アニメ化が増えている「異世界もの」で物足りない人が、より重厚なストーリーを求めて『チ。』を観ているようです。

 映像を見る際は「明るくして」見ることが普通です。しかし、このアニメはこれまでの常識を覆す「部屋を暗くしてみたいアニメ」といえるでしょう。

『チ。- 地球の運動について -』は、NHK総合にて毎週土曜日23時45分より放送中です。また地上波放送終了後には「ABEMA」にて無料配信、「Netflix」にて世界配信されています。

 2024年最後の3連休に『チ。』の世界にどっぷり浸かってみるのはいかがでしょうか?

(マグミクス編集部)

【画像】ぱっと見は「真っ暗」 あまりにも暗い『チ。』を見る(4枚)

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