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女性と男性で能力の差はないけれど? アニメの「シナリオ打合せ」で求められるスキル【この業界の片隅で】

本読みで感情的な軋轢を起こす二大要因とは?

シナリオライターへの指示は具体的に(画像:写真AC)
シナリオライターへの指示は具体的に(画像:写真AC)

 本読みで感情的な軋轢を起こす要因は、経験上、大きくふたつあるように思います。ひとつめは、「単なる感想で批判を行うこと」です。

 例えば、必死に書き上げた原稿に対して、「何かつまんないんだよなあ、ちょっとダメなんじゃない?」と言われたらどう感じるでしょう。「何かって具体的に何だよ。そんなにダメだと思うなら自分で書いてみろよ」と、カチンとくる人がいても、おかしくはありません。内心では頭にきても顔に出さないのが協調性なのかもしれませんが、寛容さを一方的に求めるのは人としてどうかしています。

 それに、なるべく具体性のある指摘や要望でなければ、どこをどう直していいものやら、ライターは見当もつきません。それでも何とか改稿してきた原稿に対して同じことを言われたら、もうほとんどお手上げ状態です。無駄な打ち合わせを重ねた挙げ句、制作スケジュールを逼迫させる原因にもなりかねません。

 ふたつめは、本読みでも中心人物となる監督に、「具体的にやりたいことが存在しないこと」です。シナリオライターの上げてきた脚本について、監督の意向や要望を基準に、参加メンバー全員で検討を行うのが本読みです。肝心の意向や要望が存在しない、あるいははっきりしないのは、羅針盤なしで航海を行うのと同じで、制作チームという名の船が、決定稿を目指す大海原で、とめどなく迷走してしまうことになります。

 自分はどんな作品を作りたいのだという唯一無二かつ強烈なビジョンを、可能な限り具体的に自分以外の人に示して分かってもらえること。それこそが、監督というポジションに求められる、最大の資質ではないかと思います。私の知る限り、優れた監督ほど「自分はこういう理由でこうしたいから」「この部分を」「このようにできないだろうか」と、根拠に基づいた論理的な話し方をします。そして、売れっ子のライターほど、「ちゃんとしたやり方で」それに応えようとします。

「狂気と紙一重の巨匠伝説」のようなものは、万人の好むところで、アニメ業界人についても数々の伝説が語られています。けれど、その半分くらいが作り話だろうと考えています。決して名前は出せませんが、とある大物クリエイターの方は、作品知名度を上げるために、あえてメディアと共犯者になって自分についての伝説を作り上げたそうです。

「ちゃんとしていること」は、他の業種と同じように、アニメ作りでもとても大切なのです。

(おふとん犬)

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