ちゃんと説明できる? 「ガンダム」のビームサーベルで「つばぜり合い」ができるワケ
『ガンダム』最新作で「ビームサーベルをヒートホークで受け止める」シーンが描かれ、話題を呼びました。ビームサーベルはご存じのように「ビームの刀身」です。こうした事象が見られるリクツは、どのように説明されているのでしょうか。
「ネトフリガンダム」でもきっちり描かれた「例の」つばぜり合い
2024年10月17日からNetflixにて配信が始まった『機動戦士ガンダム 復讐のレクイエム』のなかで、「ガンダムEX」のビームサーベルを、「ザクII」のヒートホークで受け止めるシーンがありました。
エピソード4「夜の訪問者」で、主人公の「イリヤ・ソラリ」らが身を潜めていたリサイクルセンターが、ガンダムEXと「ジム」に襲撃されます。このときソラリは、組み上がったばかりのザクIIで迎撃しました。
ソラリは、ガンダムEXの背後からザク・マシンガンを浴びせますが、ガンダムの頑丈な装甲はビクともしません。すぐさま反撃に移ったガンダムは、大上段からビームサーベルを振り下ろし、そしてソラリはザクIIのヒートホークでこれを受け止め、つばぜり合いのような状況になりました。
ビームサーベルをヒートホークで受け止めた、このシーンのインパクトが強かったのか、SNSなどでは「ビームでできた刃と物理的な斧が斬り結べるのか?」と疑問の声をあげる人もいたようです。
ですが、これは『復讐のレクイエム』だけのオリジナル描写というわけではなく、原点であるTVアニメ『機動戦士ガンダム』にもしっかり描かれています。
●初代ガンダムにもあった由緒正しき(!?)設定
その代表的なシーンが、TVアニメ『機動戦士ガンダム』の第4話「ルナツー脱出作戦」のなかにあります。
「シャア・アズナブル」が乗るザクII、いわゆる「シャア専用ザク」が振りかざしたヒートホークの一撃を、「アムロ・レイ」は「ガンダム」のビームサーベルで受け止めます。そこから両機は、つばぜり合いの状況になりました。
そのガンダムの背後へ別のザクIIが急襲、ガンダムはつばぜり合いの状態のまま、もう1本のビームサーベルを逆手に持ち、その背後のザクIIを撃破します。ガンダムに乗って間もないアムロでしたが、早くもニュータイプとしての片鱗を感じる神業に見えました。
このようにビームサーベルとヒートホークが斬り結べるのは、ある意味「原作通り」なのです。では、なぜこのようなことが可能なのでしょうか。
●刃を構築する仕組みに秘密が?
「総解説 ガンダム事典」(著:皆川ゆか/監修:サンライズ/講談社)の解説によると、ヒートホークは高電力によって発生した高熱により刃がプラズマ化し、そこに電磁力が発生するとされています。その力がビームサーベルを形成する「Iフィールド」(力場)と反発するため、受け止めることができるのです。これはヒートサーベルやヒートランスなど、その他のヒート系の武器にも同じことがいえます。
ちなみに、ビームサーベル同士も実体剣と同じように受け止めることが可能です。こちらのケースは、お互いのビームサーベルの刀身を作り出すIフィールド同士が反発しあうため、とのことです。
そういった理屈はさておき、やはりお互いの武器同士がぶつかり合う描写は、迫力あるモビルスーツ戦には欠かせないシーンといえるでしょう。こういう設定になったのも、アニメ作品ならではの演出的な側面が大きいのかもしれませんね。
(大那イブキ)