「ハリウッド版実写ガンダム」に登場した傑作MSたち Gセイバー以外にもカッコいい機体が!
日本のメカデザイナーにほれ込んだアメリカのメカデザイナーも参加して生まれた『G-SAVIOUR』のモビルスーツたち。
シャープさと力強さ、落ち着きが同居したメカ
「ガンダム」の名前を冠するロボットは数々ありますが、そんななかにも「ガンダム」とは呼ばれないものがあります。ゲームを通して知る方が多い「G-SAVIOUR」もそのひとつです。
1999年に、サンライズ(現:バンダイナムコフィルムワークス)が制作総指揮、アメリカ・ハリウッドの映画制作会社「ポールスター」(現在は解散)で制作した、ガンダム20周年記念スペシャル番組『G-SAVIOUR』の主人公機体です。
あのモビルスーツは、どこから見てもガンダムなのですが、その名称にガンダムの文字はありません。
理由は、この作品が、あくまでもアメリカで「意匠」(形やデザインなど)を登録させることを目的のひとつとして作られたものであるからです(詳しくは、当サイトに掲載した筆者による記事「『ハリウッド版実写ガンダム』の知られざる舞台裏 困難極めた制作…富野監督が送ったエールとは」をどうぞ)
まだまだ3DCGの黎明期の作品ではありますが、TVスペシャルの予算で、完全実写で作り上げたモビルスーツドラマの価値は、決して低いものではないでしょう。
そんな『G-SAVIOUR』ですが、この物語には、主人公が搭乗するG-SAVIOUR以外にもいくつかのモビルスーツが登場します。
G-SAVIOURをデザインしたのは、ガンダムをデザインしたことでも有名な大河原邦男さんですが、そこに新たなデザインとブラッシュアップを加えたのが、惜しくも2年前に他界された鈴木雅久氏という当時若手のデザイナーでした。
このころは、まだまだ「知る人ぞ知る」鈴木氏でしたが、元々が有名漫画家のアシスタントだった彼は、大変シャープで未来的なメカをデザイン出来るデザイナーとして、数々のサンライズ作品にも裏方として参加しており、彼がリライトしたG-SAVIOURそのものを大河原さんも高く評価されています。
当作品のモビルスーツのデザインには、アメリカの若手デザイナー、ケビン・イシオカ氏も参加していますが、日本側の担当プロデューサーがロサンゼルスのオフィスで初めて彼に会ったときの印象的なエピソードがあります。
もちろんケビン氏はガンダムのこともモビルスーツのこともよく知っていました。そんな彼が1冊の本を取り出します。
「この本は僕のメカデザインのバイブルなんだ」