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『ULTRAMAN』TV放送 歴代「ウルトラマン」シリーズファンに問うテーマ性

『攻殻機動隊S.A.C.』に通じるキーパーソン

Netflix限定で配信開始された『ULTRAMAN』 (C)TSUBURAYA PRODUCTIONS (C)Eiichi Shimizu,Tomohiro Shimoguchi (C)ULTRAMAN製作委員会
Netflix限定で配信開始された『ULTRAMAN』 (C)TSUBURAYA PRODUCTIONS (C)Eiichi Shimizu,Tomohiro Shimoguchi (C)ULTRAMAN製作委員会

 アニメ版『ULTRAMAN』は、原作コミックの第1巻~8巻をベースにしています。シリーズ前半は高校生である進次郎がウルトラマンとしての驚くべきパワーと責任の重さに戸惑う様子がナイーブに描かれていますが、第9話から進次郎の通う高校の1年生・北斗星司(CV:潘めぐみ)が現れ、ストーリーがよりヒートアップします。進次郎のことを「先輩!」と呼ぶ、人懐こい北斗ですが、実は二面性のあるキャラクターなのです。

 進次郎と諸星は科学特捜隊に籍を置き、国家プロジェクトによって莫大な予算を費やした強化スーツが与えられています。でも、北斗は民間で独自開発されたエースヴァージョンのスーツで戦います。一種の自警団といっていいでしょう。活動費用を捻出するため、裏ではカツアゲもやっています。独自の正義観に基づいて行動する北斗は、目的を達成するためなら進次郎たちさえも利用しようとします。

 組織に頼らず、孤独に戦う北斗は、神山監督が最も感情移入しやすかったキャラクターではないでしょうか。『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』の「笑い男」や『攻殻機動隊 S.A.C. 2nd GIG』のクゼ、『東のエデン』の滝沢朗など、神山監督の作品では社会から疎外されながらも、自分の信じる正義を貫こうとするキャラクターがたびたび描かれてきました。サリンジャーの小説『ライ麦畑でつかまえて』や『ナイン・ストーリーズ』に収録された短編小説『笑い男』を青年時代に何度も読み返したという神山監督ならではの、複雑な心理を持ったキャラクターに北斗はなっているように感じられます。

ウルトラマンが教えてくれたこと

 1966年にテレビ放映が始まった『ウルトラマン』には、絶対的な正義の味方というイメージが日本人の心に焼き付いています。でもその一方では、怪獣と戦うことに疑問を投げかける「怪獣墓場」や「故郷は地球」などの印象深いエピソードもありました。無敵のヒーローであるはずのウルトラマンがゼットンに倒された最終回「さらばウルトラマン」は、子どもたちに大変な衝撃を与えました。

 続く『ウルトラセブン』の伝説のエピソード「ノンマルトの使者」では、実は人類は侵略者だったという驚愕の結末が描かれました。自分たちこそが正義であるという思い込みはとても危険であることを、『ウルトラマン』や『ウルトラセブン』たちは教えてくれました。「ウルトラマン」シリーズを観て育った世代には、「ウルトラマン因子」のごとく、独自のヒーロー観が植え付けられているように思えます。

 SFマンガ&3Dアニメとしての面白さはもちろん、『ULTRAMAN』には「ウルトラマン」シリーズを観て大人になった世代に、「ヒーローとは、そして正義とは何か?」という命題に再び向き合わせてくれる吸引力があります。『ULTRAMAN』は毎週日曜23時からTOKYO MX、毎週火曜24時30分からBS11でテレビ放映され、Netflixでも配信中です。もしかすると、あなたの体内に眠っていた「ウルトラマン因子」が目覚めるかもしれません。

(長野辰次)

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