任天堂はスイッチ後継機への移行、SIEは独占タイトルの充実…ゲームメーカー2強「異なる課題」
スイッチ後継機の登場が近づきつつある任天堂と、PS5の普及と活性化が命題のSIE。同じプラットフォーマー同士でも、向き合うべき課題が異なっており、両社の違いをユニークな形で示しています。
スイッチ後継機に立ちはだかる、ふたつの課題
家庭用ゲーム機の展開は時代とともに変化し、今日までさまざまな動きを見せてきました。特に任天堂とソニー・インタラクティブエンタテインメント(以下、SIE)は、国内を代表する家庭用ゲーム機のメーカーとして、互いに切磋琢磨を続けています。
任天堂は「Nintendo Switch」(以下、スイッチ)の後継機に関する発表が随時行われており、一方のSIEは「PlayStation 5」(以下、PS5)のハイエンドモデル「PlayStation 5 Pro」(以下、PS5 Pro)が2024年11月7日に発売されたばかりで、どちらも最新ハードに関する動向に注目が集まっています。
二大巨頭として比較されることも多い両社ですが、ゲームハード戦略において、それぞれがいま向き合うべき課題は意外なほど異なっています。任天堂とSIEの前に立つ異なる壁は、それぞれどのような様相を呈しているのでしょうか。
●「スイッチ」で大きく飛躍した任天堂
スイッチの活躍が7年以上も続いたいま、任天堂が向き合う大きな壁のひとつは、まさにそのスイッチに他なりません。現行のゲーム機が人気を集め過ぎると、次世代への移行の障害となる場合もあり、スイッチの前世代機「WiiU」はまさにその典型例でした。
2006年に発売され一大ブームとなった「Wii」は1億163万台の販売実績を持ち、その記録はスイッチに次いでいます。しかし、WiiユーザーをWii Uへ移行させる狙いはどうにもハマらず、2012年発売のWii Uの販売台数は1356万台止まりという結果に。任天堂が独占タイトルを投入しても、人気ハードからの切り替えは至難の業でした。
スイッチから後継機への移行が、任天堂にとって大きな課題となるでしょう。いまが好調だからこそ、乗り越えるべき壁も高く立ちはだかります。Wii Uの二の舞は絶対に避けねばなりません。
●「安くて低性能」「高いけど高性能」どちらでも不満が出るのは必須?
スイッチ後継機における価格設定が、任天堂がまず重要視すべき課題です。2017年発売当初の価格は29980円(税抜き)でした。スイッチが普及した背景には、買いやすい低価格路線という理由もあります。ユーザー心理として、後継機の価格も可能な限り抑えて欲しいと願う声が多いのも当然でしょう。
一方で、スイッチの性能面に不満を感じている人も多く、後継機はできるだけ高い性能を求める声もあります。しかし、性能が向上すれば価格が上がるのは必然。ゲーマー層なら値上げも受け入れられやすいものの、カジュアル層やファミリー層からの支持は失うかもしれません。
後継機の価格を、スイッチと同程度の3万円ほどに抑えられるのか。多少の値上がりをやむなしとして4万円付近に収めるか。円安や世界的な値上げ傾向を踏まえ、5万円台やそれ以上に踏み込むのか。任天堂がどの路線を選んでも、いずれかの層から不満が出る可能性があります。
ただし、ライバル機PS5の値上げ、約12万円という価格設定のハイエンドモデルPS5 Proの登場により、価格の高騰を実感している人も多いため、スイッチ後継機が多少高くなっても理解を得られやすいかもしれません。