納得いかず制作会社へ乗り込む事態も? 原作者が苦言を呈したアニメ3選
これまでさまざまなマンガがアニメ化や実写化を果たしてきましたが、その全てが原作者を納得させるほどのクオリティに仕上がったわけではありません。ときに完成した作品をめぐり、原作者を怒らせてしまったことも多々ありました。
原作者自ら制作会社に乗り込み直談判も?
漫画家にとって、自分の作品は我が子のようなものです。それだけ大切に扱ってきた作品がアニメ化、あるいは実写化されることはうれしい出来事ですが、必ずしも納得のいくクオリティに仕上がるとは限りません。ときにマンガの映像化がきっかけで、原作者のひんしゅくを買ってしまったケースはいくつも存在します。
漫画家の森川ジョージ先生は、かつてアニメ『はじめの一歩』の制作会社に乗り込み、作家生命を懸けた直談判を行ったことがありました。自身のX(旧:Twitter)で本人が語ったところによると、もともと映像化の話には興味がなかったものの、ある会社の熱意に心打たれ、「40巻買ってくれた読者を失望させないでほしい」という条件のもと、アニメ化を承諾したといいます。
しかし放送されたアニメは納得のいくクオリティではなく、森川先生は2話目を観てすぐに制作会社へ乗り込み、「約束と違う、今すぐやめてくれ。やめないなら僕が連載をやめる」と訴えました。スタッフ陣が一生懸命やっているのは承知のうえで、申し訳ないと思いつつも、どうしても納得できないという気持ちから件(くだん)の行動に踏み切ったそうです。
その結果、制作会社は「必ずクオリティを上げる」と約束し、最終的に森川先生も「素晴らしいデキ」と褒めたたえるほどの作品に仕上げました
1997年に草なぎ剛さん主演でドラマ化された『いいひと。』は、お人好しの青年「北野雄二」が主人公の物語で、彼の優しさに触れた人びとの成長を描いた人情ストーリーです。草なぎさんの初主演作にして、出世作としても知られているドラマですが、その第1話を見た原作者の高橋しん先生は心中穏やかではありませんでした。
もともと高橋先生はドラマ化するにあたって、主人公の雄二と恋人である桜妙子のキャラクターだけは「変えない」という条件を出していました。にもかかわらず、ドラマ版のふたりは原作とかけ離れたキャラクターに変えられていたのです。
この一件により高橋先生は「もうこれ以上わたし以外の誰にも変えられずに、読者の方々の中の『いいひと。』を守ること」と「多くの読者の方に悲しい思いをさせてしまった、その漫画家としての責任として私の生活の収入源を止めること」を考え、連載終了を決断したといいます。
また決して作品を描くという「責任」を放棄したわけではないこと、終了を決めてから描ききるまで約1年半の月日がかかっていることに触れたうえで、「皆さんと作った大切な作品を守れなくて、申し訳ありませんでした」とファンに向けて謝罪していました。
アニメ『理系が恋に落ちたので証明してみた。』も、原作者が大きな感情を爆発させた作品のひとつです。原作者の山本アリフレッド先生は2022年9月、自身のインスタグラムに「作者が自分の作品のアニメに対する不満を話します。」というタイトルの暴露マンガをアップしました。
一見、不安をあおるタイトルですが、その内容は「原作者を凌駕すんなァ!!」「原作にないうまい伏線を挟み込むなァ!!」「なんなのあのアニメ どいつもこいつも優秀過ぎない!? 原作の立場がなくなんだろ!!」などの不満に見せかけたベタ褒めの嵐でした。
これを見たファンから「めっちゃ褒めてて草」「これはとても良い不満」「完全なノロケですわ」といった声があがっていたことは言うまでもありません。
※草なぎ剛さんの「なぎ」は、「弓へんに前の旧字体その下に刀」が正式表記です。
(ハララ書房)