『NEOGEO』で友人と徹夜した思い出 「お前カセット買えよ!」「金ないよ!」
1991年、SNK(旧)より家庭用ゲーム機「NEOGEO」が発売されました。ゲームセンターと同レベルのゲームを家庭でプレイできるところから、対戦格闘ゲームマニアを中心に支持されました。ただ、本体・ソフトともに高額で、若者にとっては憧れの存在でした。
マニア垂涎の的だったNEOGEO

1991年にSNK(旧)より発売された家庭用ゲーム機「NEOGEO(ネオジオ)」は、ゲームセンターと同レベルのゲームを家庭でプレイできるところから、高価ながらも当時流行していた対戦格闘ゲームマニアを中心に支持されました。友人からロムカセット版を譲り受け、一時所有していたことがあるライターの早川清一朗さんが、当時の記憶を語ります。
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高校時代、ゲーム仲間のI君が「最近『マジシャンロード』っていうゲームをやってるんだよ」と言い出したので、ゲームセンターでプレイを見物させてもらったのが、最初のNEOGEOの記憶です。ゲームそのものよりも、見慣れない筐体の方に気が向いていたのをよく覚えています。
このとき筆者が見たのが業務用NEOGEO「Multi Video System」、略して「MVS」でした。当時、ゲームセンターのゲームは新しいタイトルを入れるときは筐体内部の基盤を入れ替える必要がありましたが、「MVS」のロムは家庭用のゲームのようにカセット化されており、安価な上に入れ替えが容易になっていました。また1台の基板で複数のタイトルをプレイできるようになっていたため爆発的な普及を見せ、狭い駄菓子店などにも置かれていた記憶があります。
その翌年、家庭用の「NEOGEO」が発売されるという広告が雑誌に載るようになりました。当時の家庭用ゲーム機の性能はアーケードと比べて低く、アーケードタイトルが移植されても多くの場合は完全移植には至りませんでした。しかし「NEOGEO」では家庭でアーケードゲームと同じタイトルが同じ品質で遊べるというのです。当然興味を引かれましたが、立ちふさがったのは値段でした。
本体が定価で58000円、カセットも1本3万円以上というのは学生にとっては絶望的なお値段です。必死でアルバイトすれば買えなくもない値段でしたが、ファミコンやスーパーファミコン、メガドライブにPCエンジンも現役のハードだった時代です。ひとつのタイトルに3万円を出すお金があれば、他のタイトルを10~20本は買えるのですからあきらめざるを得ませんでした。
だからこそ友人が「親に”NEOGEO”買ってもらったんだよ」と言い出したとき、うらやましさで叫びだしそうになったのです。