え…原作マンガにはないの? 「改変」で足された要素がエグすぎる「R指定」実写化映画
過激な描写のあるマンガが実写映画化された際に、より「グロくなった」「エグくなった」例があります。なかでも評価の高い3作品をピックアップしてみると、過激にした意義を確かに感じさせるものでした。
映画独自の「編集」でより過激になった作品も
過激な描写のあるマンガが実写映画化された際に、原作より「エグく」「グロく」なることもあります。絵で描かれたマンガから、生身の人間が演じてカラーの実写になった時点で生々しくなっているともいえますが、今回は「描写をエグくする改変」があったR指定の実写版映画を振り返ります。
●『サユリ』
記憶に新しい2024年の映画『サユリ』は、中盤までの家族が家に憑りついた霊「サユリ」によって次々に死んでいく流れは押切蓮介さんの原作マンガに添いながらも、その「死にざま」にはアレンジがあります。
また、原作は全体的にダウナーな雰囲気でしたが、映画ではやや「アッパー」なノリとなり、その影響もあってか「復讐をする側」のバイオレンス描写も増しているように感じました。
さらに原作から大きく変わったのは、終盤明かされる「サユリが生きていた」ときの出来事です。さすがに直接的ではない見せ方にはなっているものの、あまりに恐ろしくも哀しく、そして現実にもある問題に強い怒りを覚える、映画独自の強く感情を揺さぶる改変がされていました。
さらに、とある下ネタ全開のセリフも映画オリジナルであり、そちらも若干の賛否を呼んだものの、個人的には思春期の少年の心情を相対的に示すものとして納得できます。
●『ヒメアノ~ル』
コメディに思えた話が「あるポイント」でホラーサスペンスへとガラリと切り替わる、スリリングな映画独自の構成も評判を呼んでいた『ヒメアノ~ル』は、とにかく森田剛さん演じる殺人鬼「森田正一」が強烈です。現実のアイドルとしての姿は見る影もない、うつろな目をしており、決定的に人としての何かが壊れているそのキャラクターは、古谷実さんによる原作マンガとはまた別種の恐ろしさがありました。
R15+指定でもギリギリと思えるほどにエロもグロも強烈な内容で、森田に返り討ちにされた「和草浩介」役の駒木根隆介さんが「けいれん」をしたり、その婚約者「久美子」役の山田真歩さんも殴られて失禁したりと、暴力を受けた側の「反応」も含めて恐ろしいものでした。
さらに、残虐なシーンに濱田岳さん演じる青年「岡田進」と佐津川愛美さん演じる「阿部ユカ」の性行為が挟み込まれるさまは、あまりに凶悪です。個人的には、直前に示された「森田が殺人で性的な快感を覚えている」ということを、映画ならではの編集で表現しているようにさえ思えました。
ムロツヨシさん演じる岡田の先輩「安藤勇次」のてん末など、原作より陰惨になっている点も多く、マンガと見比べて違いも楽しめるのではないでしょうか。
●『アイアムアヒーロー』
映画『アイアムアヒーロー』(原作:花沢健吾)は、劇中のゾンビ「ZQN(ゾキュン)」特殊メイクが秀逸なこともあって実写ではより恐怖を覚えますし、その人体破壊描写にも遠慮がありません。
何より過激なのは、クライマックスです。原作ではショッピングモールから逃げるために外の空間で戦っていたところを、トンネルでの戦いに改変し、より緊張感と絶望感のある「消耗戦」が描かれました。
特に、主人公「鈴木英雄(演:大泉洋)」にショットガンで頭部を破壊されても機敏な動きで何度も襲い来る「元陸上選手のZQN」との戦いは、実写ならではのオリジナルシーンです。熱いラスボス戦ですが、あの昆虫のような動きも込みで、悲鳴をあげてしまいそうな恐ろしい場面でした。
(ヒナタカ)