いつも980円だった『グラディウス』 お年玉もおねだりも使い果たした小学生の後悔
いつ見ても980円!

その後、近所のおもちゃ店の試遊台で『グラディウス』をプレイする機会があったのですが、グラフィックの素晴らしさ、テンポのいいBGM、次々と現れる異形の敵を見て「こっちを買えばよかった!!」と心底後悔した記憶があります。
とはいえこれ以上カセットをねだるチャンスなどひとかけらもありません。お年玉も母親へのおねだりも使い尽くしています。そうこうする内に次々と面白そうなカセットが次々と発売され、興味はそちらに移っていきました。そんなある日、当時日課のようになっていた、電器店のチラシチェックで『グラディウス』が980円で売られていることに気付いたのです。
あんなすごいゲームが980円で買えることに心底驚きましたが、小学生にとってはいきなり用意できる額ではありません。『グラディウス』を手に入れるチャンスなのに……と、悔しい思いを抱えていたような記憶があります。
ところが、次のチラシも、そのまた次のチラシでも『グラディウス』は980円のままだったのです。まだ小学生の筆者には、作りすぎや仕入れすぎという概念は分かりません。ゲームの値段がどのように決められているのかも知りません。
ただひとつだけ「ゲームのすごさと値段って、関係ないんだ」ということを、このとき理解したように思います。安いゲームのなかにも面白いゲーム、すごいゲームはあるんだと知った筆者はその後、中古カセット店で掘り出し物を探そうとして次々とクソゲーをつかむことになるのですが、それはまた別のお話。
最終的には筆者も『グラディウス』を購入し、その後数年は遊んでいました。コナミコマンドなしやバリヤなし、オプションなしといったさまざまな縛りプレイも堪能しつくし、980円とは思えないほどの満足感を得られた記憶があります。
また、大塚食品のカップ麺「アルキメンデス」のタイアップ版として『グラディウス アルキメンデス編』が製作されましたが、これは当時としては極めて珍しい、ゲームと食品のコラボだったような気がします。このべージョンはパワーアップカプセルが「アルキメンデス」のパッケージ型になっており、今はかなりのプレミアがついているそうなので、一度現物を見てみたいものです。
(早川清一朗)