ファミコン版『キャプテン翼』 「キャラゲーはクソゲー」の法則を打ち破る!
「くっ! ガッツがたりない!」

ゲーム発売の時期には、筆者は中学生になっていました。
「小学生のころにハマっていたものに中学で手を出すの、カッコ悪い」
という思春期特有の恥ずかしさもあり購入はしませんでしたが、友達が買ったと聞いていそいそとお邪魔したのは、結局『キャプテン翼』が大好きだったからなのでしょう。
そうして目の当たりにしたファミコン版『キャプテン翼』は、凄まじいレベルのゲームに仕上がっていました。何と言っても驚いたのは、ファミコンのゲームだとはとても思えない、ドリブルをしている選手のアニメーションです。さらに地平線の彼方へと消えていくグラウンドも、アニメではしばしば見られた地平線から現れるゴールを連想させてくれる抜群の演出となっていました。
BGMもアニメの主題歌『燃えてヒーロー』がうまくアレンジされており、聞きなれた懐かしいメロディーに耳を済ませた記憶があります。
ゲーム自体はコマンド選択式となっており、細かな操作を必要としないタイプだったのが当時は少々残念に感じましたが、数年前にプレイしてみたところ、アクションがないのは逆に遊びやすいと感じました。低年齢層や女性プレイヤーへも間口を広げるためには正解だったのかもしれません。
また、コマンドを使用するとガッツを消費するのも面白い仕組みでした。キャラクターごとの能力にかなり差があるゲームだったので、どうしても翼くんを始めとする主力メンバーに頼る形になるのですが、頼りすぎていざゴール前で「くっ! ガッツがたりない!」となる場面もしょっちゅうでした。
この作品でよく「ふっとばされた!」ネタになる森崎くんですが、実際プレイしてみるとパンチングをしておけば、日向くんを除けばけっこうなんとかしてくれた記憶があります。実際問題Jrユース編で若島津くんが使えるようになるまでは選択肢がないのでどうしようもないわけですが。
他にもやはりファミコンとは思えないキャラ画像や、アドベンチャーシーンでの岬くんとの再会など、時間がかかっただけのことはある素晴らしいゲームでした。当時のテクモ開発陣の方々は大変な苦労をされたと思います。ここでお礼を述べさせていただければと思います。
※作中のTVアニメ版『キャプテン翼』は、1983年から1986年にかけて放送された第一作を指します。
(早川清一朗)