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転倒シーンで爆笑の『エキサイトバイク64』 ド派手なクラッシュを追求した思い出

2000年4月30日に初リリース。日本では2020年6月23日に任天堂から発売されたNINTENDO64用ソフト『エキサイトバイク64』は、レースアクションの楽しさはもとより、転倒シーンの面白さが夢中になる要素でした。

さまざまなレースコースで、バラエティ豊富な遊び方

『エキサイトバイク64』画像はWii Uダウンロード版 (C)2000 Nintendo
『エキサイトバイク64』画像はWii Uダウンロード版 (C)2000 Nintendo

 2000年にリリースされたNINTENDO64用ソフト『エキサイトバイク64』は、ファミコン(FC)用ソフト『エキサイトバイク』の流れを汲んだ3Dレースゲームです。FC版の視点が横画面で固定されていたのに対し、本作のカメラはプレイヤーの後方から追従する形へと変更。グラフィック周りが立体的になったことで、より奥深いプレイフィールへと仕上がっていました。

 舞台となるレースコースはバラエティ豊富。ジャンプ台を中心に構成されたスタジアムをはじめ、重機の並ぶ建設現場に起伏の激しい雪山など、オーソドックスなものからトリッキーなものまで一通り揃っている印象です。着地時に両輪をそろえて転倒を避ける、坂道の角度に合わせて車体のバランスを取る、ターボを全開させて後続と差を広げる……といったテクニックと並んで、本作からの新要素「ドリフト」操作が非常に重要。緩やかなコーナーは加減速の調整、角度のきつい場所はドリフトを駆使した走行テクニックが求められました。

 レースの行方を左右するアクション面の一方、全体を占める多彩な”遊び”も魅力を放っています。「スペシャルコース」と呼ばれたオマケ要素は「ヒルクライム」や「スタントコンテスト」を含め、FC版『エキサイトバイク』をそのままプレイ可能なモード等々バラエティ豊富。4人プレイ対応の「サッカー」もあり、バイクにまたがった状態でボールを押し合うユニークな姿は、今でも脳裏に焼き付いています。

 こうした数々の要素に加え、筆者と友人たちはレースゲームの仕様にそぐわない、とある遊び方に目を輝かせていました。それが”ライダーのクラッシュ(転倒)シーン”です。

本編以上に盛り上がったクラッシュシーンの追求

 『エキサイトバイク』が3D化を果たして進化を遂げたものは、何もアクション性だけではありません。レース中に転倒した際の演出も表現が豊かになっていたのです。障害物に激突して後方へぶっ飛ぶライダー。本来ならばタイムロスにつながる決定的なミスですが、その勢いの良すぎる飛びっぷりになぜか笑いが止まりません。その瞬間、レースで1位を取るのはそっちのけで、「いかにド派手なクラッシュを披露できるか」という目標を見据えた試行錯誤の日々が始まりました。

 トンネルの壁面に体当たりする、空中スタントを維持したままで地面へ激突するは日常茶飯事。どう考えても登れそうにない壁に向かってアクセルをふかし、上空へクルクルと回転しながら舞い上がるドライバーを眺め続ける……なんて一日もあったと記憶しています。被害者となるゲーム内のドライバーの身を考えるとたまったものではないと思います。しかし知的好奇心の前には勝てず、数え切れないほどのドライバーを転倒させました。傍から見ればくだらない遊びだったのかもしれませんが、最終的にリプレイ機能を使い、インスタ映えならぬ”クラッシュ映え”を心がけた画角の研究にまで乗り出したのです。

 ドライバーが転げ落ちる光景だけで、どうしてあんなに笑えたのか。『エキサイトバイク64』が2020年で発売からちょうど20周年を迎えた今でも、その具体的かつ論理的な答えは思い出せそうにありません。そこで一種の不安に駆られ「自分の楽しみ方が異常なだけでは?」と動画サイトを検索したところ、衝撃的なクラッシュシーンをまとめたムービーがいくつかヒットしました。なかにはBGMとキャプチャー映像をミックスし、独自のプロモーションビデオ風に仕上げた作品も。本作のクラッシュシーンは、国内外の少なくないユーザーに多大な影響を与えていたのかもしれません。

(龍田優貴)

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